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基礎系 : 医学系専攻(博士課程)

免疫・微生物学 

免疫・微生物学

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研究室紹介

私たちの研究室ではこれまで先天性免疫不全症(X連鎖重症複合免疫不全症:X-SCID)の遺伝子治療に伴って発症した白血病のメカニズム解析を行ってき ました。先天性の遺伝子疾患の中でも血球系細胞に不全をきたす疾患は、血液幹細胞に正常遺伝子を導入することで完治が望めます。完治に成功した初めての例 は、X連鎖重症複合免疫不全症:X-SCIDに対する遺伝子治療で、正常遺伝子を組み込んだレトロウイルスベクターを血液幹細胞に導入することによって 2000年に成し遂げられました。話は少し逸れますが、X-SCID治療のためにベクターに組み込む遺伝子はかつて私たちが遺伝子単離に成功したインター ロイキン2受容体γ鎖です。

しかし、2000年のX-SCID遺伝子治療後の2003年、11人中2名の患者が予期せぬ白血病を発症しました。いずれの症例においても、治療用レトロ ウイルススベクター ががん原遺伝子LMO2遺伝子座に組み込まれており、これが白血病発症の主な原因と考えられています。

意外なことに、レトロウイルススベクターは遺伝子治療に使用されているにもかかわらず、標的細胞染色体へのベクター組み込みに関する基本的情報の詳細は 判っていなかったのです。そこで私たちの研究室ではこの白血病発症のメカニズムを解明するに当たり、ヒトリンパ球細胞へのベクター組み込み特性を解析して きました。その結果、遺伝子のプロモーター領域に特異的に挿入されること、また、特定の遺伝子領域に集中して挿入されること(hotspotの存在)など をこれまでに明らかにしています。

研究テーマ

現在、X-SCID遺伝子治療において、高確率(11人中2名の発症)で起こったLMO2遺伝子座へのベクター挿入のメカニズムを明らかにするために、LMO2転写開始点近傍へのベクター組み込み頻度と分布について解析を行っており、以下の実験結果を得ています。

・Tリンパ球細胞株において、LMO2の転写開始点近傍に高頻度にMLVベクターの組み込みが起こる領域を認めた。
・LMO2の高頻度組み込み領域には、X-SCID遺伝子治療での白血病患者(Pt5)のMLVベクター挿入部位が含まれていた。
・T細胞株に見られたLMO2における高頻度な組み込みは、HeLa細胞では認められなかった。
・高頻度組み込み領域へのMLVベクター挿入は、LMO2の転写活性化を引き起こす可能性を示唆した。

ADA欠損症の遺伝子治療では白血病発症の報告がないことから、どのような条件下で白血病が発症するのかをさらに検討すると同時に、より安全なベクター作製のための技術開発等を行っています。

業績

  • 01.Yamashita Y., Kojima K., Tsukahara T., Agawa H., Yamada K., Amano Y., Kurotori N., Tanaka N., Sugamura K., Takeshita T.: Ubiquitin-independent binding of Hrs mediates endosomal sorting of the interleukin-2 receptor  chain.. J Cell Science 121,1727-1738, 2008.
  • 02.Kyuuma M., Kikkuchi K., Kojima K., Sugaware Y., Sato M., Mano N., Goto J., Takeshita T., Yamamoto A., Sugamura K., Tanaka N.: AMSH, an ESCRT-III associated enzyme, deubiquitinates cargo on MVB/late endosomes. Cell struct Funct, 31(2), 159-172, 2007.
  • 03.Tsukahara T., Agawa H., Matsumoto S., Matsuda M., Ueno S., YamashitaY., Yamada K., Tanaka N., Kojima K., Takeshita T.: Murine leukemia virus vector integration favors promoter regions and regional hot spots in a human T-cell line. Biochem Biophys Res Commun. 345:1099-107. 2006.
  • 04.Silverman LR, Phipps AJ, Montgomery A, Fernandez S, Tsukahara T, Ratner L, Lairmore MD. In vivo analysis of replication and immunogenicity of proviral clones of human T-lymphotropic virus type 1 with selective envelope surface unit mutations. Blood. 106(10): 3602-08, 2005.

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