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5億年前から生き続ける小さな化石-貝形虫-と,わたしの歴史

■昔の地球を調べています
「貝形虫(かいけいちゅう)」って知っていますか?大きさは1mm以下で,エビやカニに近い甲殻類です.今も海や池,田んぼに生きていますが,なんと,この祖先は5億年前から続いているすごい生物なのです.東京アクアラインのPAの名前にもなっている「ウミホタル」も,貝形虫の仲間です.

大昔の砂や泥が海や湖にたまってできた地層には,その当時の海や湖に生きていた貝形虫が化石となって残っていることがあります.小さいので肉眼では分かりませんが,顕微鏡の下で見るとよく分かります.私は,この貝形虫の化石を研究しています.貝形虫の化石を調べると,大昔の地球の様子が分かります.例えば,昔の日本は今よりも暖かかったとか,今は浅い海がもっと深かったとか,昔の地球の様子を知ることができます.

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貝形虫化石の電子顕微鏡写真.スケールバーは0.1mm.



■地学は身近にある
下の写真を見て下さい.左下から右上に細長い砂の道の右側に大きな池(海鼠池)が見えますね.砂の道の反対(左)側は海です.いったいこの池,どのようにして出来たのでしょうか?海の隣に池になるくらいの大きな穴があったのでしょうか?

実は,昔はこの細長い砂の道(砂州(さす)といいます)がなく,海鼠池は海の一部でした.潮の流れによって砂が運ばれ,だんだんと砂州が作られ,いつの間にか海だった場所は砂州によって海と隔てられた池になってしまったのです.こういうところは,みなさんの周りにもたくさんあります.

こういった自然の力で環境が変わってしまった場所は,いったいいつ頃,どのように変わったのでしょうか?これを明らかにすることができるのが,地学なのです.地学は,私たちの身の回りにある地層や現在の湖や海の底の堆積物などを調査します.

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鹿児島県甑島の海鼠池.



■最初は宇宙が好きで→受験大失敗の巻
高校生の頃の私は宇宙に興味がありましたので,宇宙を勉強出来る理学部や教育学部の地学を受験しました.ところが,現役では一つも合格しなかったんです.滑り止めにと受けた私立大学までダメでしたから,「浪人か〜」と思っていた3月終わりに,突然「補欠の繰り上げで合格になりますがどうしますか?」という電話が来まして,第一希望の大学ではなかったんですが,「行きます!」と答え,最下位の成績で大学にギリギリ滑り込んだワケです.

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京都府久美浜湾における湖底堆積物の採取風景



■興味が変わった!
さて,大学に入ってみると宇宙ははかない夢に消えました・・・というのも,宇宙を勉強するというのは,星の写真を眺めて綺麗だな〜と思っているだけではダメなわけですよ.それこそ,高校では赤点ギリギリですり抜けてきた物理の公式が次々と出てくるのです.もちろん,宇宙は相変わらず好きでしたけど,それを研究したい,勉強したいというのとは少し違うことに気づいた時でした.それに,地学の授業には,野外に出て行って岩石などを学ぶ「巡検」というのがたくさんありまして,もともと外に出て体を動かすのが好きだった私は,そちらの方が楽しくなっていったわけです.

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自然の彩「折り紙の恐竜を作ろう」



■失敗とはなんだろう
受験勉強は大嫌いでしたし,合格できなかったくらいですから,全然ダメでした.英語は高校に入ってとたんに嫌いになりました.物理はいつも赤点ギリギリでした.受験も大失敗でした.でも,進んだ道で興味を持ったことを選んで続け,今の仕事をしています.受験で失敗しなければこの道に来ることもなかったと思うと不思議です.自分では「失敗」だと思っていたことが,実は「失敗」ではなかったんですね.

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信州夏の学校.上高地のハイキングコースで地学を学ぶ.



■ぜひ遊びに来て下さい!
私たちの学部では,中学生・高校生の皆さんと触れ合う機会を作っています.上高地・乗鞍高原の自然を一緒に歩いて地学を学んだり,折り紙で恐竜を作ったり,小さな化石を拾ったり,様々な体験ができます.ぜひお越し下さい.

山田 桂