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おもしろい光の特性を目指して

現在の研究テーマ:(1)フォトニック結晶による面白い光学特性に関する研究

1.フォトニック結晶とは?
光は電磁波のうちのひとつです.普段我々は,空気中をまっすぐ進む電磁波しかあまり意識しませんが,実は電磁波はあらゆる物質の中をいろいろな形態(モードと呼びます)で伝搬します.この伝搬モードはこれまで物質の種類を変えることによって制御してきましたが,人工的な微細構造によっても制御することができるようになってきました.その人工的な微細構造がフォトニック結晶というものです。

電磁波の波長と同程度の微細構造があると,電磁波はそれらの構造によってあらゆる場所で散乱され,それらの散乱電磁波は互いに干渉します.もし微細構造が周期的に配列されていると,散乱されたそれぞれの電磁波はある規律をもって干渉します.その結果,フォトニック結晶特有の伝搬モード(これをフォトニックバンドと呼びます)が出現することになります.このフォトニックバンドを用いることによって,非常に面白い光学特性を得られます.人工構造によって光学特性の制御が可能なため,フォトニック結晶の応用範囲は,可視光領域からラジオ波まで幅広い周波数領域に渡って応用されることが期待できます。

2. ユニークな光学特性の発見
 特に金属を材料として微細周期構造を作製すると,これまでの常識とは異なったユニークな特性が現れます.金属薄膜に周期的に穴が開けられた金属開口アレイに光を入射させると,ある周波数(波長)の光だけ,ほぼ100%の透過率を示すことがあります.これは非常に驚くべきことです.なぜなら,穴のあいた部分の面積は,全体の面積に対してせいぜい40%程度しかないにもかかわらず,ある光だけはあたかも金属の物質が存在しないかのように透過していくからです.この現象は初め実験的に観測されたものでしたが,後の研究においてコンピュータシミュレーションにより詳細に解析されました.それによると,入射された電磁波は,金属部分から穴の中に吸い込まれるようにして入っていき,穴を通過後,再び解き放たれるかのように出て行く様子が観測されています.この特性により,100%の透過率が得られるわけです.我々の普通の感覚では一見奇妙とも思えるこのような光の振る舞いは,金属を材料とした周期微細構造によって実現されます.

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図1 テラヘルツ分光装置



(2)テラヘルツ電磁波の特性と応用可能性を探る研究

3. テラヘルツ電磁波とは?
 もうひとつの研究テーマであるテラヘルツ電磁波とは,一般に"光"と言われている領域と"電波"と言われている領域のちょうど中間に位置する電磁波領域です.近年まで,この周波数領域は,光源や検出器が無かったために,未踏破電磁波領域と呼ばれていました.しかし近年のレーザー技術の急速な発展により,テラヘルツ電磁波を高強度に放射させることのできる光源が作られるようになり,急速に研究が進んでいる領域です.

図2は,開発されたテラヘルツ分光システムの模式図を示しています.フェムト秒パルスレーザーという,非常に短い時間しか光らないレーザーを用いることによって,テラヘルツ電磁波を発生しています。

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図2 テラヘルツ分光システム



4. テラヘルツ電磁波で何が出来るのか?
テラヘルツ電磁波は他の電磁波には無い光学特性があり,それを利用した応用技術というものが考えられてきています.たとえば,可視光とは異なり,紙や陶器などの物質を素通りします.一方,薬品やプラスチックなどにはある特異な吸収特性を示します.これらの性質を利用して,さまざまな応用が考えられます.たとえば,封筒内に隠されたプラスチック爆弾をテラヘルツ電磁波によりイメージングしたり,服も透過するので,空港や駅において,服の下に不審なものを隠していないかをチェックするシステムも開発されています.このようなテラヘルツ電磁波の特性は,さまざまな産業分野へ応用されていくと考えられます.

宮丸 文章