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医学部・大学院医学系研究科の魅力

大学院座談会(2013年)

修士課程 博士課程

修士課程座談会(2013年)

修士課程の医学系、疾患予防医科学系で学ぶ櫻井和徳さんと伊藤賢祐さん、博士前期課程保健学専攻に在籍する伊藤彰洋さん。これまでの経歴も将来の夢もまちまちですが、大学院への進学という同じ道を選んだ現役大学院生3名が集合。大学院への進学を決めたきっかけや研究の魅力、受験生に対するメッセージを語ってくれました。

(写真左より)伊藤賢祐さん、櫻井和徳さん、伊藤彰洋さん

進学の経緯をお聞かせください。

伊藤(彰):
大学院への進学を決めたのは4年の春。臨地実習で、臨床検査技師が日々の仕事で直面するさまざまな異常を目の当たりにして、それらに対して柔軟かつ的確に対応する力が必要だと痛感したんです。大学院で自らの手で研究を行うことで、その力をつけたいと思ったんです。
櫻井:
私は電子機器メーカーの新商品を開発する部門で働く社会人で、仕事のために学んでいる1年生です。51歳ですけど(笑)。私が医学系研究科で学ぼうと思ったのは、医療現場で医療関係者の皆さんと一緒に研究することで、市場調査やヒアリングだけでは見えてこない本当に必要とされているモノや技術を見つけていきたいからです。
伊藤(賢):
研究を通して知識を深めて、苦しんでいる人たちの力に少しでもなりたいと思い、進学しました。臨床検査技師の資格取得や大学院での研究生活で培われた知識や技術を活かし、社会へと貢献していくことが将来の夢です。

進学動機も修了後の進路もさまざまなんですね。

伊藤(賢):
大学院では、学部生の時には得ることのできない、専門的な知識や技術を身につけられることで、自分の興味ある分野についてより追及することができるのが魅力です。
櫻井:
同級生には、看護師や言語聴覚士として医療現場で活躍している方、社会人として働いた後に学部の化学科に入学して学んできた方など、いろいろな方がいらっしゃいます。私のような工学部出身のエンジニアは異色かもしれませんが、幅広い分野の方に門戸が開かれているのはすばらしいと思います。
伊藤(彰):
私は、修了後には大学病院で臨床検査技師として働きながら、博士号を目指すつもりです。
櫻井:
信州大学は、定期の授業が週1回で、1年の前期に集中しているので、社会人の私にとっては履修しやすくて助かりました。ただ、授業のある日は疲れ果てていましたが......。

そもそも研究とは?

櫻井:
私たちの研究は短期間で成果が出ることはまれで、普通は、たくさんの人が関わり何年もかけてやっと成果に結びつくものなんです。
伊藤(賢):
自分が思った通りの実験結果を得るまで、さまざまな条件を検討しながら何度も何度も、繰り返し実験をし続けることになります。その分、失敗の先にある成果は何ものにも代えがたい達成感を与えてくれますけどね。
伊藤(彰):
実験の前には、過去の文献や教授の助言によりどのような結果が得られるかあらかじめ予想します。この予想と、結果がピッタリ重なった時の充実感といったら!
櫻井:
世の中に無い新しい技術や医療機器を生み出していく研究では、自分が最先端を走ってるので誰も答えを教えてくれないので失敗も多いですね。大切なのは、困っている患者さんを救い、世の中の役に立つことが研究の目的で、失敗も成功もそのためにあるというのを忘れないこと。この思いが粘り強く研究を続けるモチベーションにつながるんじゃないでしょうか。
伊藤(彰):
修士課程と学部生との違いは、自分の判断で実験を行うことできる、ということにあると思います。結果が出ればうれしいし、結果が出なくてもその原因を考察して改善し、最終的には結果を出すところに結びつける。ここらへんが研究の面白さですよ。マッチ棒を使ったクイズのような、いわゆる「頭の体操」が好きなんですけど、これだって、不可能な事象を除外していくと残った手段が正解になるという意味では、研究と同じです。こういうのが好きな人は研究に向いていると思います。

修士課程に進むためのアドバイス

伊藤(彰):
基本的なことですが、なによりも学部生で得た知識は大事です。それらがベースになって、実験の計画や結果の予測をすることができるんです。それから、英語の読解力も必須です。
櫻井:
英文で発表されている論文には優秀なものが多いですからね。私のように生物や医科学分野ではない分野から入学する方は、分子生物学や遺伝学の基礎的な部分を少し勉強しておくと、入学後の授業が理解しやすいと思います。
伊藤(賢):
私は、部活動での経験から、目標の達成に向けてひたむきに努力する姿勢を学んで、それが今の研究を行う上でも活かされています。
伊藤(彰):
今後どのような場面でもコミュニケーション能力が必要になってきます。研究室だけでなくいろいろな人間関係を作っていくことも大事ですよ。特に信州大学には日本各地から学生が来るので、いろいろな人、文化に出会う機会にも恵まれています。
伊藤(賢):
信頼できる、一生付き合っていけるような友人を見つけることも学生生活を送る上で重要ですね。
櫻井:
実は私の娘が修士課程2年に在籍しているんです。先輩ですよ(笑)。授業が一緒のこともあるんです。学習や研究には、年齢や環境の壁はないってことですよ。
  • 櫻井 和徳さん櫻井 和徳さん
    修士課程 医科学専攻 医学系
    糖尿病・内分泌代謝内科学分野1年
  • 伊藤 賢祐さん伊藤 賢祐さん
    修士課程 医科学専攻 疾患予防医科学系
    分子腫瘍学講座2年
  • 伊藤 彰洋さん伊藤 彰洋さん
    博士前期課程 保健学専攻
    病因・病態検査学領域1年

博士課程座談会(2013年)

医学系研究科博士課程で学ぶ田中愛さん、三村享さん、博士後期課程 保健学専攻に在籍する有賀一朗さん。博士号を目指し、日々研究に勤しむ大学院生3名が、博士号を目指すことにしたきっかけや研究への思い、これから博士課程を目指す学生たちへのアドバイスなど、本音たっぷりに語ってくれました。

(写真左より)有賀一朗さん、田中愛さん、三村享さん

進学の経緯をお聞かせください。

田中:
大学は理学部だったので、医学部大学院に進学するとは思ってもいませんでした。でも、大学4年次に卒業研究生として東京女子医科大学に出向し、生物の基本から学び始めることになったんです。一年という短い期間でしたが、もっと医学の知識を身につけたいと思うようになり、医学部大学院への進学を決めました。
三村:
私は学部、修士課程で薬剤疫学を学び、薬剤師として信大病院に就職した後も、研究は行っておりました。そのなかで知識・技術不足を感じることがあり、より質の高い研究が行えるよう進学することにしました。
有賀:
私は他の大学院の修士課程を修了したんですが、そこで、自分で興味を抱いたことについて調べ、知らなかったことを知る面白さを知ったんです。就職してからも継続して研究活動をやりたいと思ったんですね。
田中:
いま現在、誰も知りえなかったことを解明できるというワクワク感って、研究以外ではなかなか味わえないんじゃないでしょうか。

みなさん、知識や研究への欲求が志望動機なんですね。

田中:
修士課程2年間って本当にあっという間だったんですけど、それって、教授や先輩に言われたことだけをこなしていたからなんですよね。博士課程では日々、失敗と熟考の繰り返し(笑)。でも、自分で考えて、答えを出すこと自体がやりがいなんですよ。
有賀:
自分の考えを言うこと、他人の考えを聞くこと。その面白さを知ってしまったんですよね(笑)。
田中:
研究ほど地道なものはないと感じることもありますが、失敗してもくじけない精神がとても大切だと思います。あきらめないこと。とはいえ、松本のきれいな星空を眺めていると、研究を投げ出して出かけるのも悪くないかなと、ふと思う時もありますけど(笑)。
三村:
大学院は学部で学んだことを発展させ、自ら研究を行っていく力をつける場所。特に私の研究室では自主性を重んじてくれるので、研究テーマも自分の意見を考慮してくれます。その分、責任は重いですが、やりがいもありますよ。
田中:
私たちの研究室では、一人一人が学会発表に意欲的に取り組んでいます。教授もそんな学生の後押しをしてくれているので、そういった点もやりがいを感じる部分だと思います。研究室選びは本当に大切!

仕事と研究のかけ持ち

三村:
私は臨床試験センターに薬剤師として勤務し、治験・臨床研究に関する業務に携わっている社会人大学院生なので、日中は仕事をしています。
有賀:
土日や週末の夜に授業を受けることができるから、仕事をしながらでも履修しやすいんです。インターネット電話を利用して遠方からでもゼミに参加できる環境も整いつつありますし、社会人にはとても学びやすいです。
三村:
修了後は、これまでとは違った目線から治験・臨床研究に携わることができると思うんです。今でも、実際の現場で生じたクリニカルクエスチョンを研究テーマにし、結果を現場に還元できるような臨床研究を心がけています。
田中:
臨床と基礎研究の間に、まだ多くの壁が存在していると実感することは確かにありますね。臨床にフィードバックできる基礎研究が求められている現在、医学部生でない方が医学系の大学院で勉強することには、大きな可能性と魅力があると思います。信大は、私のような他学科からの進学者に対してのカリキュラムにも力を入れていますし。

大学院に必要なものとは?

有賀:
論文の大半は英語で書かれているので、英語は必須ですよ。
田中:
学会の質疑応答をはじめ、いろいろな場面で多岐にわたる医学知識が必要になってきます。私自身も、日々勉強することが大事だとつくづく感じています。
有賀:
大事なのは健康! 特に仕事をしながら大学院に通いたいという方は、体調管理には気を付けないと。
三村:
昼間は働いて夜に研究と言っても、残業もあったりと忙しくて、毎日研究を行えるわけではありませんからね。プライベートな時間も大切にするようにしています。
田中:
私もメリハリは大事だと思います。毎日研究室にいて、実験ばかり繰り返していてもうまくいかない時があるものです。研究するときは研究、遊ぶときは遊ぶ、寝るときは寝る。自分のペースを大切にすることが充実した学生生活に繋がると思います。
  • 田中 愛さん田中 愛さん
    博士課程 疾患予防医科学系専攻
    循環病態学講座2年
  • 三村 享さん三村 享さん
    博士課程 医学系専攻
    分子薬理学(臨床薬理学)分野1年
  • 有賀 一朗さん有賀 一朗さん
    博士後期課程 保健学専攻
    成人保健学領域2年