私が放射線科の門をたたいたのは、大学5年生の冬休みでした。当時は漠然と、診療科の垣根を越えて多くの疾患をみてみたいと思っていました。その思いは変わらず、卒業後、放射線科に入局することになったのですが、振り返ってみると、私の期待を大きく越えて画像診断は進歩し続けています。
 超能力の中には「透視能力」というものがあります(実在するかどうかは不明ですが)。画像診断では、生体内の構造や変化を詳細に観察することができますので、まさに科学が生んだ透視能力といってよいのではないでしょうか。ただし、そのまま見えるわけではなく、画像診断装置という「眼鏡」を介して見ることになります。従来の「眼鏡」は白黒のみでしたが、昨今では三次元的な画像に色づけをすることで、実際の生体に近い像を得ることもできるようになってきています。さらに進化した「眼鏡」は、組織の血流情報、水分子の拡散、各臓器の機能、病変の代謝など、透視能力以上の情報も提供してくれます。当科では、このような「眼鏡」を使いこなす技術と、見えているものを正しく見極める力を育てます。
 一方、適切な治療は正しい診断なくして成り立ちませんので、質の高い画像診断は質の高い医療につながるといっても過言ではありません。当科で施行している、画像誘導下手術(IVR)および放射線治療はその延長線上にあり、より低侵襲に大きな効果を上げることができるため、さまざまな疾患に対する治療で注目されています。
 自分の「眼」を鍛えるとともに技術を進歩させ臨床に提供する。このように、放射線科は臨床に直結するとともに、その可能性は無限に広がっています。私たちと一緒に未来の眼鏡で医学を見渡してみませんか?




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