ミッション背景
人工衛星が地上や他の人工衛星と通信する手段として、主に用いられているのは電波です。しかし、最近は電波の需要が多く帯域が混雑し、電波を使うための免許申請に時間がかかり人工衛星の開発に時間がかかる要因の一つとなっています。 そこで、現状では法規制のない可視光通信に目をつけました。この技術が実現すれば人工衛星の開発期間を短縮することができます。
可視光通信実験概要
地上−衛星間双方向可視光通信はまだ実証されていない技術です。そのため、今回ShindaiSatを用いて実験を行い、光が大気中を通過する際の大気減光などの光学的特性の測定も行う予定です。また、可視光通信での通信プロトコルや通信確立のための姿勢誘導則・衛星運用手順の検証を行う予定です。
ミッションは大きく分けて2つあり、LEDによる可視光通信で人工衛星から地上にデータを伝送するダウンリンクと、同じく可視光通信で地上から衛星にデータを伝送するアップリンクがあります。
ダウンリンクでは人工衛星に搭載されたLEDを高速で点滅させることによりデータを伝送します。地上では受信用の望遠鏡で追尾・受光し、復調器でダウンリンクデータを取得します。このデータには人工衛星の電圧や温度などの情報(ハウスキーピングデータ)や、衛星に搭載されたカメラで撮影したデータの2種類があります。
アップリンクでは地上に設置した送信用LED光源を高速で点滅させ、人工衛星に搭載されたセンサで受光し、復調器で復調することによりデータを伝送します。この時、地上に設置したLEDは人工衛星を追尾し、人工衛星は受信用望遠鏡が設置された地上局を指向するよう姿勢を制御します。
さらに、アドバンスミッションとして可視光通信を使った姿勢制御も計画しています。

ミッション概念図
これらの実験により得られたデータをもとに地上−衛星間の可視光通信技術を確立すると共に、10kg級の小型人工衛星にも搭載可能なシステムとその対となる地上局の開発を目指します。