お知らせ・報告

第一回フカヒレ研究会レポート(H20.2.15)

【旧人文HPから移動したものです】

平成19年度後期「中国文学演習(木2・氏岡先生)」の授業の一環として、中国料理を知るためのフカヒレ研究会が、「薬膳・飲茶 謝藍」さんにて開かれました。遅ればせながら以下に当日食した中国料理についての紹介をいたします。

◆第1回フカヒレ研究会報告 A.Hさん(3年)
フカヒレスープを一度飲んだだけで大いに満足し、この高級料理の事をすっかり知り尽くしたように思う人は少なくないであろう。残念ながら、フカヒレスープを飲んだくらいでは、フカヒレを食べた事にはならない。ほんとうの味を知りたいなら、姿煮を食べなければならない。少々値が張るが、一度食べてみる価値がある。中華料理の特色はこの一品に凝縮されているからだ。フカヒレスープは子供だましに過ぎない。
張競『中華料理の文化史』 (p.194)より
...というわけで、演習の一環としてフカヒレの姿煮を食べる運びとなった。

・フカヒレ(調理前)
店員さんにお願いして見せてもらった。ナタデココやツバメの巣と同じで食感を楽しむものなので、フカヒレそのものに味はない。味付けで勝負である。味付けをしていないフカヒレはあまりに白かった。漂白してあったのだろうか?
調理前フカヒレ.jpg ・生姜とピータンの豆腐和え"鮮姜皮蛋豆腐"
ピータンは癖があるかと思いきやそうでもなかった。今回食べたものはサラダということで、細かく刻んであった。4人で分けて試食する分には良かったとは思うが、次回は丸のまま食べたい。白身の部分は半透明になっている。要するに煮卵とか味玉の仲間であった。
鮮姜皮蛋豆腐.jpg ・フカヒレの姿煮"紅焼魚翅"
フカヒレの身は厚く、醤油ベースのタレは中まで充分染みてはいなかった。タレは味が濃かった。癖になる食感であった。何に似ていると言えば伝わるのか。ホタテの繊維であるとか、春雨やビーフンのちょっと固くした物に少し近い。添えてある赤い粒はクコの実
紅焼魚翅.jpg ・カエルの唐揚げ"軟炸田鶏"
当初の予定にはなかったが、選んで大正解だった。今回食べた珍味の中では一番気に入った。カエルまるごとではなく、足の部分のみ。鶏肉がもっとさっぱりした感じだが、明らかに鶏より骨が細い。戦時中食べていたものにしては美味しかった。現在の日本でも通用すると思う。商品化できないだろうか?
軟炸田鶏.jpg ・野菜たっぷり八宝菜"錦什八宝菜"
見慣れているが、見た事の無いキノコが入っていた。形はマッシュルームに近いが、黒いし味もマッシュルームとは違うようだった。 錦什八宝菜.jpg ・茶道師
この店の二階へ続く階段には料理人たちの写真が飾られてあったが、みな中国の方のようだ。茶道師の男性も片言の日本語を話していたので本場の方だろう。彼が登場するとどこか空気が張りつめる。太極拳のような動作で、口先が1mほどもあるヤカンでお湯を淹れてくれる。 ヤカンからはお湯がすごい勢いで出てくる。中国茶は、茶碗に茶葉が入っていて、底にお湯を淹れ、茶碗のふたを閉めた状態で少しずらして、飲む。そうすると茶葉がでてこない。今回はレモンの乾燥したのや、生姜の細かいのや、薔薇のつぼみなどであった。さらに、茶碗の文字は「万寿無疆(ばんじゅむきょう)」果てまで長生きであれ、という言葉だそうだ。疆というのは新疆ウイグル自治区の字で、「境」という意味。
茶道師はランチタイムには出てこないそうである。
(茶道師については下の別レポートにて画像があります)
お茶.jpg ・中国腸詰のココナッツ揚げ"腊味香腸卷"
形状はパンショップに売っている"ぐるドック"に似ている。ぐるドックは肉まんの生地にソーセージが入ったものだが、こちらの生地はあげパンであった。カエルの唐揚げにつけた甘めのタレと同じものをつけて食べる。
la味香腸卷.jpg ・エビとのりの春巻き"開心春卷"
店のオリジナル料理。"開心"が「からかう」という意味があるので、「春巻もどき」というような意味だろうか。実際は卵焼きに近いが、卵の部分は茶碗蒸しのような味がした。それにエビをいれて海苔で巻いたもの。エビと書いてあるが本当は恐らくカニカマであろう。
開心春卷.jpg ・中華風ねぎパイ"葱油餅"
見た目は素朴だが美味しかった。韓国のチヂミに近いが、生地はパイ状になっている。そこがまた良い。私の先輩に秋田県出身で信大理学部院生の人がいるが、彼女は、同じ研究室の中国人研究者に、「ネギベイ」として作ってもらった事があるという。
葱油餅.jpg ・薬膳カメの甲羅入ゼリー バニラアイス添え"亀芩膏"
見た限りではコーヒーゼリーのようだ。体に良さそうな、いかにも漢方らしい苦さである。特に後味が苦いが、アイスと一緒なら美味しくいただける。
("亀芩膏"については下の別レポートにて画像があります)
点心
こしあんのお饅頭。何の粉で出来ているかわからなかったが、あの食感は好きである。うさぎ、桃、カボチャなどなどいろいろな形がある。
点心.jpg
◆第一回フカヒレ研究会レポート K.Mさん(3年)

 平成20年2月15日に「第1回中国食文化研究会」が松本の「謝藍」で行われた。
 席についてまず面白いな、と感じたのが、テーブルを照らす照明がかなり低い位置に設置されていたことだった。暖色系の色で料理を明るく照らすことで、料理をおいしそうに見せる工夫なのだろうと思った。また、落花生をゆでてあったものが置かれていたのが興味深かった。炒ったものよりもあっさりした食感だった。日本のレストランでは見たことがないサービスだったので、興味深かった。
 食前に、小さなグラスに切った金柑と思われるものと酢を入れたものを出された。酢の食欲増進効果を目的にしているのだろうと思われる。
 今回の主な目的であるフカヒレは、調理前の状態も見せてもらった。一つは光の加減で僅かに黄色がかった色に見えた。この状態のフカヒレには味がないため、その店の味がはっきり出るという。調理されて出てきたフカヒレは、醤油ベースの濃厚な味付けがされていた。煮汁にはかなりとろみがついていた。味がよく絡むように、ということではないかと思う。想像していた以上に弾力のある食感で、楽しかった。盛りつけも、青みがかった白の皿で、周りに青梗菜を敷き、上にクコの実を散らしてあって、彩りがきれいだった。
 前菜には、ピータンと豆腐のサラダがあった。ピータンは思ったほど癖がなく、グミのような歯ごたえだった。また、豆腐は絹ごしだったらしく、なめらかな食感と味で、ぴりっとした辛味とのコントラストが印象的だった。黒と白とネギの緑の組み合わせに、涼しげな印象を受けた。具の多い八宝菜もそうだったが、見た目の彩りのよさが重視されているように感じた。
 中国腸詰めのココナッツ揚げは、中華風ウインナーロールのような見た目だった。意外なことに、外側の菓子のような甘さと、中身の腸詰めのスパイシーな味が合っていた。また、海老と海苔の春巻き、というものがあって驚いた。どんなものだろうと思っていたら、見た目は衣をつけて揚げた海苔巻きのようだった。中心にはカニカマが巻かれていたのだが、すりつぶした海老がとても弾力のある歯ごたえだった。卵白などがつなぎに入っていたのかもしれない。中国風ネギパイというものもあり、見た目は(大変申し訳ないが)市販のパイシートに刻んだネギを挟んで焼いたような感じだった。味は比較的あっさりしていて、おいしく食べられた。
 またここには、パフォーマンスのようなやり方でお茶を入れる、茶道師と呼ばれる人がいた。茶道師の方に出してもらったお茶は、菊・生姜・レモン・クコの実が入っていて、甘酸っぱい味だった。底の方に砂糖が沈んでいたようで、最後のほうはとても甘かった。茶器には「萬寿無疆」という熟語があしらわれていた。「萬寿無疆」とは、「幾久しく長寿を保たれますように」という意味である。
茶道師.jpg
 デザートに、亀ゼリーというものがあった。亀と漢方薬のエキスを固めたものらしいが、やはりというべきか、苦かった。やや癖のある苦味で、私は上に乗せたバニラアイスのおかげで何とか飲み込めた。点心のほうは、もちもちした中華まんといった感じの見た目をしていた。桃や南瓜の形をかたどっていて、かわいらしい印象を受けた。箸で割ると少しねっとりしたような感触だった。小さな蒸篭に乗っていたので、蒸したものだろうと思う。食べた印象はものすごく柔らかい団子、といった感じである。中の餡は、小豆の漉し餡に少し香辛料が足されたような味だった。桃や南瓜の形をかたどっていて、かわいらしい印象を受けた。
亀ゼリー=亀qin膏.jpg
 今回、いくつかの料理を実際に見て、食べてみた。どの料理も、見た目の華やかさを重視しているような印象があった。また、濃い目の味付けが多いようにも感じた。
参考文献:『中日辞典』小学館

※ご協力いただいた「薬膳・飲茶 謝藍」さんは松本市中央2-4-15にあります。定休日は第2・4火曜日。ディナーの場合「食前酢、お通し、甘い点心、本日のお茶付き」コースがあります。
おまけ:とても可愛いデザインのペーパーコースター
謝藍コースター.JPG

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