信州大学農学部動物生理学研究室 Lab of Animal Physiology , Shinshu University

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研究内容


標語

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 動物栄養飼料学研究室では、家畜の生体機構の理解と、そのメカニズムに立脚した飼料の開発を目指して、研究を行っています。現在は、主にニワトリを研究対象としており、鶏舎施設を用いた動物実験をメインとして行っています。また、動物生体だけでなく、アッセイモデルとして培養細胞などを取り入れたラボでの実験を併せて行うことによって、栄養・分子生物学的な研究を遂行しています。

現在まで取り組んでいるテーマ

・培養細胞による資源探索in vitro系の確立
 様々な飼料を開発する上で,ニワトリ個体を用いた飼養試験は時間と労力を必要とすることから、添加する物質の効果・機能をもっと簡便に評価可能な培養細胞アッセイ系が必要だと考えました。そこで,これまで培ってきた細胞培養の技術と経験を活かし,ニワトリ腸管上皮細胞の初代培養モデルによるアッセイ系を確立しました。

・ニワトリの様々なストレスを緩和する飼料の開発
 家禽生産の中で問題となっている,暑熱による肉用鶏の致死を解決すべく,細胞内ストレスに着目した研究を行っています。現在までに、肉用鶏では急性暑熱への曝露によって様々な組織で細胞内ストレスが発生すること,4-フェニル酪酸という物質を給与すると,暑熱が原因の体温上昇を抑制可能なことを明らかにしました。引き続き有用資源探索を行い,暑熱問題を解決に導く飼料開発に取り組んでいるところです。

・アニマルウェルフェアに資する飼料の開発
 世界ではアニマルウェルフェアを取り入れた畜産物の生産・ニーズが普及しています。わが国ではケージでの採卵鶏飼育が主流ですが,今後、平飼い飼育が求められる可能性が高く、他個体との触れ合いが多い環境で発生する異常行動の抑制が、今後の畜産において重要な解決課題になると考えました。採卵鶏の異常行動を栄養飼料の側面で改善できないか?と着想し、主に幼雛期のニワトリの恐怖行動と栄養との関連を調べています。



将来的に取り組みたいテーマ


・ストレス分子指標の確立と飼料を介したアニマルウェルフェアの達成
 家畜や家禽のアニマルウェルフェアを推進する上で,生体が感じる様々なストレスを数値化し,評価する技術が求められています。ストレス負荷個体とそうでない個体の間で,血中代謝物に現れる変化を明らかにし、見つかった分子指標の代謝経路をもとに飼料を介してストレスを低減できるのではないかと考えています。

・家畜・家禽の生態に根ざした新たな飼料設計のための基礎研究
 家畜・家禽の生産は,抗生物質に頼らない飼養が課題となっています。家畜・家禽が本来持つ生態を考えると,免疫力やストレス耐性の獲得に必要な土壌中微生物や,栄養素が不足している可能性も否めません。そこで家畜・家禽のどの時期に,どのような環境因子が必要となるのか,解析を行い,それらが与える効果を評価したいと考えています。