信州大学農学部 近未来農林総合科学教育研究センター
バイオリソース部門(生物資源研究室)
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Equipment

・実験機器など
研究室では現在、「分子生物学」「分析化学」「応用微生物学」に類する各種実験と分析を行っています.

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・高速液体クロマトグラフィ  日本分光 GL2000シリーズ  [2012年3月導入]

極めてオーソドックスなHPLCシステムです.
現在の分析の対象は、「カビ毒」「有機酸」ですが、 今後順次メソッドを確立し、自前での測定可能項目を増やす予定です.


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・マイクロチップ電気泳動装置  島津製作所 MultiNA  [2012年3月導入]

核酸やタンパク質の複数サンプルの電気泳動と解析を同時に行うことができます
同種の製品は某A社のものが先行していますが, 当機種は電気泳動用チップを繰り返し使用するので
ランニングコストを非常に低減できます
*導入時に「長野県で初めての導入で、東日本でちょうど100台目」と言われました. メモリアルでもキリ番でも何も貰えなかった...


photo04 ・無酸素ガス注入加圧装置
三紳工業株式会社 IP-8型  [2013年3月導入予定]

嫌気性微生物を培養するための、特別な培地の調製に使用します.




GLOSSARY  【嫌気性微生物】(けんきせいびせいぶつ)
-微生物のうち、おもに酸素が存在しない環境下で棲息(せいそく)しているもの

*私たち人間を含め多くの動植物にとって、生きていくうえで酸素は絶対不可欠です. それはこうした生物が生命活動に必要なエネルギーの獲得のほとんどを、 酸素分子を利用した好気的酸化(いわゆる呼吸)という手段に依存していることに拠ります.

*これに対して、微生物(細菌、古細菌、真菌、酵母)の多くは呼吸以外の手段でエネルギーを獲得しています. その代表的な手段が発酵で、 有機物を酸化分解して別の有機物を生成する過程で、エネルギーを(ATPの形で)得ています. エタノール発酵や乳酸発酵はどちらも同じグルコースを利用して反応しますが、 それぞれの発酵による生産物は「エタノール(と二酸化炭素)」と「乳酸」となります.
 このように、微生物は基本的に酸素なしでエネルギーを獲得する(=生命活動を営む)ことが可能です. ただし、同じ量のグルコースから発酵によって得られるエネルギー量は、酸素を用いた呼吸と比較して1割にも満たないくらいに非効率です. 逆に言えば、微生物による発酵産物にはまだ大量のエネルギーが残されていることになります.

*一方で、エネルギー獲得のための非常に重要な役割はありますが、酸素分子は実は生体にとって意外と危険な物質です. その高い反応性から、酸素から活性酸素や過酸化水素など、 細胞に損傷を与える化合物が非常に低頻度ですが環境中に発生します. 微生物とくに原核生物(細菌・古細菌類)はこうしたこうした化合物を分解する酵素を持たないため、 酸素の存在が生存の上でむしろ危険となります. 一般的な動植物の場合は真核細胞で構成されており、活性酸素や過酸化水素を細胞膜外で酵素によって分解できるため、 これらの化合物が日常生活で大きな影響を及ぼすことはありません…巷間で騒がれているほどには.

*以上のように、生命体にとって酸素分子はプラスマイナスの両方の作用を持っており、各生物がどの程度酸素に対する需要と受容があるかによって、 おのずと棲息帯域が決まってくるともいえます.
 ざくりと@「酸素がないと生きていけない」、A「酸素があってもなくても生きていける」、B「酸素があると生きていけない」の ように区分すると、微生物はおおむねAかBに属し、全体として嫌気性です. どの程度酸素が必要か、あるいは酸素があるとだめかは、それぞれの微生物によって異なります.

*当研究室で取り扱っている動物消化管微生物もほぼ全てが嫌気性で、さらにその多くが「酸素がコンマ何%でもあったら×」の実にめんどくさい生き物たちですので、 それをうまく殖やすために、特別な装置を使って条件を整えてやる必要があります.


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