研究内容の具体例を紹介しましょう。
冷暖房で温度が調節でき、水のやり加減も自由にできるビニールハウスの中でならともかく、
屋外の水田や畑で作物の生長を人間の思うようにコントロールするのは難しいことです。
自然の気ままさや厳しさと如何にうまく付き合いながら、自然の恵みを最大限に引き出すか。
自然を真正面から相手にするところが作物学の醍醐味でもあります。
化学肥料・農薬、農業機械の使用のために石油エネルギーを多量に投入し、環境破壊を招いている
場合がある農業生産の現状を「省エネルギー型で持続可能な農業」
(低投入持続可能農業:Low Input Sustainable Agriculture = LISA)に
転換していくための研究は近年の重要課題です。
食料資源としての利用があまり進んでいない植物が世界にはまだあります。
作物学がどんな研究なのか、おおよそお分かり頂けましたでしょうか?
一言で言えば、「作物学は食糧危機が起こらないようにするための研究」です。
ということは、研究が進むほど作物学は忘れられ、研究が進まないほど注目される、
ということになる???
作物学が注目される時代が来ないのが人類にとっては望ましいのですが...。