イベント詳細[映像部門]
2013年9月22日(日)●マルチホール[終了]
ドキュメンタリー映像上映とレクチャー
※茅野市美術館『寿齢讃歌─人生のマエストロ─写真展Ⅷ』の期間中に開催いたします。
「老いの時空」上映
レクチャー:老い・映像人類学・アーカイブズについて
人間の生、生の織りなす多様な営みを世代や時代のなかで考えるとき、「老い」の問題はわたしたちに多くの示唆を-なかでも「文化」について-あたえてくれます。すべてが忘れられたあとにもなお残りうるものを「文化」とよぶなら、「老い」とは「文化」の謂いであり、その本質について多角的に考察することは、人間性の探求にほかなりません。インドネシアの伝統的な影絵人形芝居ワヤン・クリを伝承する老人の日常を描いたドキュメンタリー映像を上映します。
映像部門では、第1回目の実践演習プログラムが行われました。
茅野市民館のマルチホールにおいて、講師である村尾静二さんが撮影・監督をされたドキュメンタリー映像「老いの時空」の映像上映とレクチャーが行われました。今回は、2回の基礎演習講座の内容をふまえ、「老い・映像人類学・アーカイブズ」というテーマについて、村尾さんからの情報提供がありました。
茅野市美術館では『寿齢讃歌―人生のマエストロ―写真展Ⅷ』が開催されており、世界に先んじて高度高齢化社会を生きる日本がおかれている状況や、今後の映像が担うべき役割などについて、さまざまな問題提起がなされました。
「老いの時空」はインドネシアのワヤンクリ(影絵人形芝居)のダラン(語り部)である老人の日常をつづった作品であり、現在続編を取材制作中です。映像部門では、12月8日(日)に、実践演習プログラムの第2回において、その作品を上映する予定です。
2回の上映+レクチャー後は、会場に展示された村尾さんが所有しているインドネシアの絵画やバティックなどの作品について、ミニギャラリートークが行われ、参加者からの活発な質問をいただくことができました。
また今回、前日からの展示準備と終了後の撤収作業には、茅野市民の有志の方々からの多大なるご協力をいただき、すばらしい空間をつくっていただくことができました。本当にありがとうございました。
講演資料はコチラ
2013年12月8日(日)●アトリエ[終了]
映像部門実践演習プログラム 第2回
「バリの光と影」
講師:村尾静二(映像人類学)
9月22日に開催いたしました映像部門の続編となります今回のプログラムは、第1部を「光編」、第2部を「影編」として2部構成で実施いたします。
第1部では、講師の村尾氏より、バリの地域性や伝統芸能として継承されているワヤンクリ(影絵人形芝居)のことなど文化・社会背景について、映像上映を交えながら文化人類学・映像人類学の視点からレクチャーしていただきます。第2部は、映像製作、編集、アーカイブズについての専門的な情報提供を行います。
本プログラムの目的は、村尾氏の映像制作の取り組みを通じて、それぞれのご参加者に「映像」について考えていただくことです。日常の中で、当たり前の存在になっている映像について、あらためて、撮影対象とどう関わり、どう理解し、どのようなプロセスを経て「映像」を撮影する必要があるのか、ぜひこの機会に一緒に考えてみませんか。
この講座は一般に公開しますので、ぜひお誘い合わせの上、ご参加ください。
■日程
2013年12月8日(日)
■時間
第1部「光編」 13:00~14:30
第2部「影編」 15:00~17:00
■会場
茅野市民館・アトリエ
■講師
村尾静二(むらお・せいじ)
■料金
入場無料
■ご予約
ご予約は下記のEメールにてお願いします。
基礎演習講座・第1回 [終了]
2013年7月28日(日)19:00~22:00●茅野市民館 会議室
講 師:村尾静二
基礎演習講座・第2回 [終了]
2013年8月28日(水)10:00~12:00●茅野市民館 マルチホール
講 師:酒井 耕
「記録・記憶~作品」アーカイブズとドキュメンタリーを考える
講師の酒井耕さんは、映画監督として東日本大震災で被災された方々のインタビューを記録した映画を制作しています。また今回は、スタッフだけでなく茅野市民の方にもご参加いただくことができました。映像部門のテーマであるアーカイブズについて考えるために、課題として参加者の子どものころの写真をご用意していただきました。講座のスタートは自己紹介を兼ねて、それぞれの方の幼少時代の写真とその写真の記憶などをお話いただきました。
日本であたりまえのように各家庭のアルバムの中に写真が保存され、個人の歴史を大切にしていることは、世界の中で考えるととても稀有なことです。アーカイブズの3要素として、①記録、②収集・分類、③活用があげられます。1枚1枚の写真ではわからなくても収集・分類することで違うイメージが広がります。時代のイメージを構築することができるのです。
東北の被災地では、津波で流された写真をきれいにして保管・返却する活動が行われました。すべてがなくなってしまった状況で、酒井さんはイメージに対する渇望というものを感じたそうです。彼自身、被災地の記録映画の制作を始めた時に、何も映すものがない状況を目の当たりにし、語り(インタビュー)の中から立ち上がるものによって、風景を再構築しようとしました。
講座では気仙沼の方のインタビュー映像を15分の上映して頂き、記録を作品に置き換えていくことについて考えました。アーカイブズをためているだけではなく、「集めた人」も「見る人」にとっても、どういう価値があるかの入り口をつくってあげなければならない。作品には、第三者を想像させる力があるのです。
日本では個人の記録の充実度に対し、国レベル、地域レベル等公共機関でのアーカイブズは遅れているそうです。今後、個人が収蔵している写真や映像資料をどのように活用していくかなど、課題が提示されました。
村尾静二(むらお・せいじ)
早稲田大学大学院で映画学を専攻後、国立民族学博物館で映像人類学を研究し、この分野で日本最初の学位を取得する(文学博士)。
インドネシアを中心に芸術と宗教をテーマにフィールドワークを続け、映像作品『護りの時空』(スマトラ島)、『老いの時空』(バリ島)を制作。ポーランド国際人類学映画祭や東京都写真美術館をはじめ国内外の映画祭やミュージアムで上映され好評を得る。
また、近年では、国立天文台ハワイ観測所や国立極地研究所において、映像アーカイブズの構築に向けた制作活動を展開する。
酒井耕(さかい・こう)
1979年長野県生まれ。映画監督。現在の活動拠点は東京。
東京農業大学在学中に自主制作映画を手掛け、卒業後、社会人として働いた後、2005年に東京藝術大学大学院映像研究科監督領域に入学。修了制作は『creep』(2007年)。
『ホーム スイート ホーム』『愛の星』の他、濱口と共同で東北記録映画三部作『なみのおと』『なみのこえ』『うたうひと』を監督。
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