信州大学、ゼオライト株式会社、一般財団法人造水促進センター、日本水工設計株式会社、長野県喬木村による共同研究体は、国土交通省「上下水道一体革新的技術実証事業(AB-Cross)」に採択された「中山間部における分散型水循環システムの実証研究」において整備を進めていた実証研究施設の完成を受け、5月11日、長野県喬木村で完成記念式典を開催しました。

 式典は喬木村福祉センターで行われ、共同研究体関係者や国土交通省、自治体関係者らが出席しました。第一部では、共同研究体代表者や来賓による挨拶、事業概要説明・完成報告が行われ、第二部では実証施設前でテープカットと現地説明が実施されました。

 今回完成した実証施設は、中山間地域における人口減少や水道インフラ老朽化などの課題を背景に、地域内で水を循環利用する「分散型水循環システム」の有効性を検証するものです。生活雑排水を高度処理し、約80%を再生水として循環利用することで、新規取水量を従来の約5分の1に抑えることを目指しています。

 挨拶で信州大学 中村宗一郎学長は、「これは単なる水循環システムではなく、地域の未来そのものを再設計しようとする挑戦だ」と強調。「大学は教育・研究・社会貢献を通じて地域に価値を還元する使命を持つ。本実証研究を通じて、持続可能で幸福を実感できる"ウェルビーイング社会"の実現に貢献したい」と述べました。

 事業概要説明では、ゼオライト株式会社の山口豊氏が、システムの概要やこれまでの成果を紹介。実証設備では、温室効果ガス排出量を18.1%削減し、膜関連電力使用量も30%以上削減できる見通しが示されました。また、再生水については水道水質基準52項目を満たす高い安全性を確認していると説明しました。

 続いて、信州大学工学部の手嶋勝弥卓越教授は、循環水中の重金属イオン除去に活用している新規吸着材料技術「信大クリスタル」について紹介。さらに、同じく工学部の遠藤守信特別栄誉教授は、低圧でも高度な浄水を可能にするSULP(Super Ultra Low Pressure)-逆浸透(RO)膜技術について説明し、「世界に展開可能な革新的技術として発信していきたい」と語りました。

 第二部では、実証施設前で完成記念テープカットが行われた後、参加者が施設を見学。研究体関係者からシステム構成や運用方法について説明が行われ、参加者は熱心に耳を傾けていました。

 今後、共同研究体では喬木村デイサービスセンターでの運用を通じて、年間を通じた運転データや利用者アンケートなどを収集・分析し、分散型水循環システムの社会実装と全国展開に向けた研究を進めていく予定です。

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   完成記念テープカットの様子