信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 脂質代謝からみた運動療法の改善

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.2 Vol.2

 はじめに

 Masoroら14)は,長時間の絶食または電気刺激による筋運動でさえ,筋肉中triglyceride(T-G),遊離脂肪酸(FFA)ならびにリン脂質含有量は変化しないと報告した.これに反し,Frobergら6)をはじめ多くの研究者により,筋運動で筋肉中T-GやFFAの代謝は冗進するという報告がある.これら後者の実験成績を基にして,肥満や高脂血症などに対する「運動療法」が成立する.
 今日,運動療法に関する多くの研究が行われている.運動は,その「時間」と「強度」の2つの因子により成立するもので,これらの因子の変化により,脂質代謝は複雑な変化を呈してくる.著者ら10)のラットを用いた実験成績で,同一運動強度でも,肝臓中T-Gは運動の後半から急激に減少し,筋肉中FFAは時間経過に伴って蓄積する現象が観察された.
 したがって,本研究は,運動療法を行うに際し,最も効果的に脂肪代謝が冗進する運動の「負荷時間」と「負荷強度」とを知ることが目的で,今回は特に「負荷強度と脂肪代謝」の関係を明らかにしようとした.

「デサントスポーツ科学」第2巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 小林啓三, 碓井外幸, 酒井敏夫
大学・機関名 東京慈恵会医科大学

キーワード

triglyceride(T-G)遊離脂肪酸(FFA)リン脂質運動療法