信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 学校体育における機械器具の安全性

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.3 Vol.3

 学校教育における運動用機械器具の使用に伴う傷害事故の防止を究極のねらいとして,昨年に引続き調査を実施した.本年は安全管理の実態の把握と管理・指導の問題点を検討する目的で,2県(一部全国を含む)1,794校(回答数1,276校,回答率64.9%)を対象に質問紙法による調査を実施し,併せて事故の実態および機械器具の安全基準に関する資料を収集した.
 質問紙調査の結果,過去3年間に85%に達する学校で軽症以上の事故があり,事故多発機器は,とび箱,鉄棒,マット,ハードルなどで,その主要な原因として,使用者の不注意,使用上の注意の不徹底,使用者の体調不良などが指摘された.
 機械器具の使用条件は,全く生徒の自由とする学校は少なく(10%以下),大多数の場合,必要に応じ(固定式)または必ず(移動式)教員が立ち合っている.
 安全点検は大部分定期的あるいは使用のたびに実施しており,定期点検の頻度は月に1回が多く,圧倒的多数の学校で体育主任や教師が担当している.新しく機械器具を設置する際は,教員に説明し,生徒全体に説明し,そして近くに注意の掲示をすることが一般的な安全対応策のようである.業者の関与は少ない.
 学校における事故災害の事例集や防止策(日本学校安全会発行)を保有している学校は必ずしも多くなかった.学校の教育方針の中で,健康・体力の増進が多数の学校で第二の重点におかれていることがわかった.
 これらの事実をもとにして,学校教育における運動用機械器具の使用に伴う安全指導および管理,および機械器具の安全基準の作成に関する基本的問題を検討した.

「デサントスポーツ科学」第3巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 岩間英太郎*1,松井秀治*2,石河利寛*3,高沢晴夫*4,加賀谷凞彦*5,石川旦*6,池上康男*2
大学・機関名 *1 財団法人体育科学センター,*2 名古屋大学,*3 順天堂大学,*4 横浜市立港湾病院,*5 埼玉大学,*6 東京大学

キーワード

学校教育運動用機械器具傷害事故の防止