信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF トレーニングに伴う貧血の予防について―貧血発現のメカニズムの検討―

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.10 Vol.10

 要旨

 トレーニング中に見られる運動性貧血は,その防止法のみならず発現のメカニズムも不明である.そこで本研究はこれらの疑問解明に検討を加える目的で実施された,その結果長年トレーニングを続けているエリート中,長距離ランナーでも貧血が発現していることが明らかとなった.一過性の激運動でも溶血及び筋中ミオグロビンの喪失などが起き,結果的に起こる鉄欠乏が貧血の主たる原因の一つであることも示唆された.しかし同時に,運動中に見られる血液濃縮による血流抵抗や凝固能の上昇などを軽減したりすることにつながる血液希釈が起きている可能性も無視できない.
 ヘモグロビン濃度などを指標とする場合,正常範囲をわずかに切る程度の貧血がトレーニング中に起きても,運動能力の抑制因子になるとは限らない.しかし,貧血の予防又は治療法には総赤血球容積や鉄欠乏の有無など綿密なチェックが望まれ,それに応じた適切な処方が必要である.

「デサントスポーツ科学」第10巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 大平充宣*1, 田畑泉*1, 芝山秀太郎*1, 丸山芳一*2, 丸山征郎*2, 江橋博*3, 西嶋洋子*3, 満留敏弘*4
大学・機関名 *1 鹿屋体育大学, *2 鹿児島大学, *3 明治生命厚生事業団, *4 鹿児島市立病院

キーワード

運動性貧血トレーニング血液希釈