女子駅伝選手の有酸素的エネルギー動員の速さに関する研究
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.10 Vol.10】
要旨
本研究は,女子駅伝選手の有酸素的エネルギー動員の速さが,3000mのperformanceにどのように関与しているかを,Vo₂max,VT(換気性閏値(Ventilatory Threshold)との関連で明らかにすることを目的としている.被検者は全日本大学女子駅伝を目標にトレーニングを行っている大学女子陸上競技部中長距離選手の中から,候補選手として残った上位9名である,トレッドミル走の速度を200m/minから240m/minに急増したときのVo₂の変化を,反応が50,60,80%に達する時間t1/2,t3/5,t4/5であらわすと,3000mのベストタイムとそれらとの間には,有意な相関は得られなかった(p>0.05).一方,トレッドミルで測定したVo₂max(60.60±3.86ml/kg/min)と3000mのベストタイムとの間の相関はr=−0.555(p>0.05)となり,有意ではなかったが,VT−Vo₂(48.86±4.09ml/kg/min)とベストタイムとの相関はr=−0.768(p<0.05)で有意であった.2つのパラメータを組み合わせると,決定係数はより高くなる.その場合,VT−Vo₂とVo₂maxを組み合わせて用いるよりも,VT−Vo₂とVo₂t1/2,t3/5,t4/5を組み合わせた方が,高い重相関係数が得られた(r=0.848,0.850,0.846,p<0.01).トレッドミルテストを実施した時期に行われた競技会の3000mのタイムと上記の呼吸循環系パラメータとは,単独で有意な相関を示すものはなかった.重相関係数でみると,有意であったのは,VT−Vo₂とVo₂t3/4(r=0.731,p<0.05),VT−VoとVo₂t4/5(r=0.769,p<0.05)であった.
以上の結果から,走速度の増加に対するVo₂増加の速さは,単独では3000mのperformanceを決定する因子とはならないが,VTと組み合わせると記録を予測する有効なパラメータであることが明らかになった.
「デサントスポーツ科学」第10巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
本研究は,女子駅伝選手の有酸素的エネルギー動員の速さが,3000mのperformanceにどのように関与しているかを,Vo₂max,VT(換気性閏値(Ventilatory Threshold)との関連で明らかにすることを目的としている.被検者は全日本大学女子駅伝を目標にトレーニングを行っている大学女子陸上競技部中長距離選手の中から,候補選手として残った上位9名である,トレッドミル走の速度を200m/minから240m/minに急増したときのVo₂の変化を,反応が50,60,80%に達する時間t1/2,t3/5,t4/5であらわすと,3000mのベストタイムとそれらとの間には,有意な相関は得られなかった(p>0.05).一方,トレッドミルで測定したVo₂max(60.60±3.86ml/kg/min)と3000mのベストタイムとの間の相関はr=−0.555(p>0.05)となり,有意ではなかったが,VT−Vo₂(48.86±4.09ml/kg/min)とベストタイムとの相関はr=−0.768(p<0.05)で有意であった.2つのパラメータを組み合わせると,決定係数はより高くなる.その場合,VT−Vo₂とVo₂maxを組み合わせて用いるよりも,VT−Vo₂とVo₂t1/2,t3/5,t4/5を組み合わせた方が,高い重相関係数が得られた(r=0.848,0.850,0.846,p<0.01).トレッドミルテストを実施した時期に行われた競技会の3000mのタイムと上記の呼吸循環系パラメータとは,単独で有意な相関を示すものはなかった.重相関係数でみると,有意であったのは,VT−Vo₂とVo₂t3/4(r=0.731,p<0.05),VT−VoとVo₂t4/5(r=0.769,p<0.05)であった.
以上の結果から,走速度の増加に対するVo₂増加の速さは,単独では3000mのperformanceを決定する因子とはならないが,VTと組み合わせると記録を予測する有効なパラメータであることが明らかになった.
「デサントスポーツ科学」第10巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 加賀谷淳子, 加藤昭 |
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大学・機関名 | 日本女子体育大学 |
キーワード