身体運動とトレーニングが消火管諸機能に及ぼす影響

　全身運動の消化管諸機能に及ぼす影響を，胃痩，Heidenhain pouch，十二指腸痩を造設したイヌ6頭を用いて検討した．
　Heidenhain pouchからの食事刺激による胃酸分泌は，運動開始後1時間までは安静時と差がなかった．1時間を越えると，時速4km以上の運動では安静時に比し有意に低値を示した．ペプシン分泌は運動の有無にかかわらず食後減少した．時速4kmで運動を行った時のペプシン分泌は安静時に比し低値を示した．血清ガストリンは運動により変化しなかった．血清トリグリセライドは運動後1時間値が安静時に比し低値であった．液体食の胃排出は運動により影響を受けなかった．安静時の上部消化管には100分ごとの周期的な強収縮が出現するが，運動中にはこの強収縮は出現しなかった．それに代わって不規則な収縮波が出現した．しかし，運動を中止すると最初の強収縮から予測された時刻に次の強収縮が出現した．

「デサントスポーツ科学」第11巻/公益財団法人石本記念デサントスポーツ科学振興財団

研究者名	近藤孝晴1, 成瀬達2
大学・機関名	1 名古屋大学, 2 国立生理学研究所

キーワード

全身運動、消化管諸機能、Heidenhain pouch

研究シーズトップに戻る