信州大学 繊維学部技術データベース

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PDF 運動時の前腕部冷却が体温調節反応に及ぼす影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.13 Vol.13

 暑熱環境下において,60%Vo₂max自転車エルゴメータ運動を50分間行い,運動開始後30分より左前腕部を20分間-10℃寒気暴露し,酸素摂取量,心拍数,直腸温,皮膚温,体重減少量そして局所発汗量を測定し,以下の結果を得た.
 1.運動中に左前腕部を寒気暴露すると,2〜3分後に運動群10%,対照群9%の酸素摂取量,心拍数の軽減が起こった.
 2.直腸温平均皮膚温は,運動後上昇し,寒気暴露後直に低下した.また,同様に躯幹部平均皮膚温も寒気暴露により若干の低下がみられたが直腸温や平均皮膚温の低下より小さかった.皮膚温は,いずれも対照群が運動群より高く推移していた.
 3.運動前後における体重減少量は,対照群に有意に大きかった.また,胸部の局所発汗量は,両群ともに運動開始後有意に増加しているが,寒気暴露後は抑制された.
 以上の結果は,暑熱環境下での運動時に身体の一部(前腕部)を冷却することにより,呼吸循環系の負担の軽減,体温の上昇と発汗量増加を抑制する効果があることを示唆した.

「デサントスポーツ科学」第13巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 菅原正志, 田井村明博, 今中國泰
大学・機関名 長崎大学

キーワード

前腕部冷却体温調節性暑熱環境運動