硬式テニスボール・ラケットのディジタル画像処理による流体力学的改善の研究
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.13 Vol.13】
テニスボールの消耗度とボールの飛行軌跡との関係を画像処理を用いた実験により定量解析した.パラメータをボールの摩耗度と回転数に取り,これらがボールの飛行軌跡に及ぼす影響を実験により統計的に調べた.新しいボールと消耗したボールを用いてボールに与える初期速度を一定に保ち,ボールの回転数を三段階に変化させてボールの飛行軌跡を計測した.
ボールの初期の運動状態をボール打出し機から打出された直後に高速度ビデオカメラで撮影し,これを画像解析してボールの速度,回転数および飛行角度を自動的に求め,つぎにこのボールがテニスのネットを通過するときの高さを計測し,最後にボールのコート上の着地位置を計測した.ボールの打出し位置,打出し直後の位置,ネット位置における通過高さおよび着地点の4点からボールの飛行軌跡を推定した.同時に各計測位置におけるデータのばらつきを調べた.
本研究で得られた主な結果は,
1)ボールに回転を与えると,ボールの消耗度が飛行軌跡に及ぼす影響が減少する.
2)順回転(重力方向)するボールは,ボールの消耗程度が違う場合でも類似の飛行軌跡をとり,軌跡のばらつきも比較的少ない.
3)ボールが逆回転する場合は,消耗度の高いボールは新しいボールに比べその飛行距離(ボールの着地点位置)が増大する.
4)ボールの回転がほとんどない場合には,新しいボールも消耗したボールもその飛行軌跡のばらつきが大きくなる.
以上のように,ボールの消耗度とボールの飛行軌跡との関係は,ボールに与えられる初期の回転数と回転方向によりその影響が異なることがわかった.
「デサントスポーツ科学」第13巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
ボールの初期の運動状態をボール打出し機から打出された直後に高速度ビデオカメラで撮影し,これを画像解析してボールの速度,回転数および飛行角度を自動的に求め,つぎにこのボールがテニスのネットを通過するときの高さを計測し,最後にボールのコート上の着地位置を計測した.ボールの打出し位置,打出し直後の位置,ネット位置における通過高さおよび着地点の4点からボールの飛行軌跡を推定した.同時に各計測位置におけるデータのばらつきを調べた.
本研究で得られた主な結果は,
1)ボールに回転を与えると,ボールの消耗度が飛行軌跡に及ぼす影響が減少する.
2)順回転(重力方向)するボールは,ボールの消耗程度が違う場合でも類似の飛行軌跡をとり,軌跡のばらつきも比較的少ない.
3)ボールが逆回転する場合は,消耗度の高いボールは新しいボールに比べその飛行距離(ボールの着地点位置)が増大する.
4)ボールの回転がほとんどない場合には,新しいボールも消耗したボールもその飛行軌跡のばらつきが大きくなる.
以上のように,ボールの消耗度とボールの飛行軌跡との関係は,ボールに与えられる初期の回転数と回転方向によりその影響が異なることがわかった.
「デサントスポーツ科学」第13巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 小林敏雄*1, W. Frank*2, 佐賀徹雄*1, 瀬川茂樹*1, 長瀬久子*1 |
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大学・機関名 | *1 東京大学, *2 カールスルーエ工科大学 |
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