信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF スポーツ用下着素材としての綿繊維の改質に関する研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.13 Vol.13

 本研究では,綿繊維の内部をモノクロル酢酸で軽度にカルボキシメチル化を行ない,その吸水性をDSC法を用いて詳しく検討した.カルボキシメチル化綿の吸水性能は,ナトリウム塩型(Na塩型)と酸型(H型)とで非常に異なり,Na塩型は,H型に比べて1.5倍の吸水率の増加を示した.
 Na塩型試料の場合,非常に低い置換度(DS=0.01〜0.02)で未処理綿に比べて含水率が50〜60%高い繊維が得られ,しかも,この程度の低置換度では繊維性能の低下は認められなかった.この結果は,軽度に内部親水化することにより,自然の風合いや繊維性能を損なうことなく,より吸水性に富む繊維へ変換が可能であることを示している.また,カルボキシメチル化(Na塩型)綿繊維は,DS=0.02という非常に低い置換度で完全非晶セルロースよりも高い吸水性を示すことが判明した.

「デサントスポーツ科学」第13巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 辻井敬亘*1, 宮本武明*1, 小野木禎彦*2, 坂部寛*3
大学・機関名 *1 京都大学化学研究所, *2 武庫川女子大学, *3 京都工芸繊維大学

キーワード

綿繊維カルボキシメチル吸水性