信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 体重免荷を応用した寝たきり防止のための歩行訓練

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.13 Vol.13

 われわれは片麻痺患者のための歩行訓練装置を考案し,その装置の有用性について検討した.被検者は2名の男性脳卒中片麻痺患者で,体重の5%のおもり(カウンターウエイト)で身体をつり上げることによって体重を免荷された.被検者は歩行速度1.0〜2.6km/h,傾斜0〜16%の負荷条件でトレッドミル上を歩いた。
 体重免荷歩行時の結果は次の通りである.
 1)換気性作業閾値(VT)および心拍数100時の酸素摂取量(Vo₂ 100)は,通常歩行時の結果とほぼ同じであった.
 2)股関節の伸展が増加し,歩幅が広がった.
 3)接床時における足関節の背屈時間が延長した.
 4)健側と患側との聞にみられる,歩行1周期中の立脚期および遊脚期の割合のアンバランスは改善されなかった.本装置を用いることによって,片麻痺患者の持久的機能を安全になおかつ正確に評価することができた.また,体重免荷によって歩行動作の改善が認められた.したがって,われわれが考案した体重免荷法によるトレッドミル歩行は,片麻痺患者の歩行能力の回復に有効であることが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第13巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 種田行男*1, 西嶋洋子*1, 田中信行*2, 草野修輔*2, 石井昇*2
大学・機関名 *1 財団法人 明治生命厚生事業団体力医学研究所, *2 国立身体障害者リハビリテーションセンター

キーワード

片麻痺患者歩行訓練装置カウンターウエイト体重免荷歩行