信州大学 繊維学部技術データベース

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PDF 骨格筋ディペプチドは筋持久性能力判定の指標になりうる

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.13 Vol.13

 骨格筋組織および血液中のヒスチジン含有ディペプチドであるカルノシンおよびアンセリンの濃度(レベル)を測定した.両者は酸化的あるいは嫌気的筋収縮エネルギー産生にともなう緩衝能を示す働きがあると言われ,ヒトおよびラットを対象としてそれらの動向を見た.持久性運動を特徴とする競技種目のうち長距離ランナーでは対照群(23.0±7.1nmoles/ml)に比較して有意に高いカルノシンレベル(50.4±20.4nmoles/ml)が血液中に測定された(P<0.01).
 このレベルは持久性能力を示す指標として利用が可能であると考えられる.持久性トレーニングを負荷したラットの下肢骨格筋ではアンセリンおよびカルノシンの両者の低下が認められ,その比率は低下した.加齢によりその比率は上昇することから,持久性運動負荷が若年期の骨格筋組織の性質をおびてくることが推察された.したがって両ディペプチドは,とくに持久的筋収縮エネルギー供給に対して大きな緩衝能を示すものであると考えられた.

「デサントスポーツ科学」第13巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 吉岡利忠, 田中みどり, 山下勝正
大学・機関名 聖マリアンナ医科大学

キーワード

ディペプチドカルノシンアンセリン持久性トレーニング加齢