信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 筋の持久性トレーニングで神経系の働きは変化するか?

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.14 Vol.14

 全身持久性能力は,最大酸素摂取量や心拍出量筋の毛細血管分布密度などの呼吸循環器系の機能,筋線維内酸化酵素系の活性度などを指標として評価され,持久性トレーニングの効果とあわせて研究されてきている.これに対して静的持久力のトレーニング効果に関しては,全身持久性と相似的にみることができる毛細血管分布密度,筋酸化系酵素の項をのぞいて,静的最大筋力との低相関,動的筋持久力に対する効果がみられない.また効果に一致がみられないなど,未だ不明な点が多く解釈の困難さを示している.しかし,筋血流量が精神的緊張度に影響を受けるといった報告があり,筋持久性トレーニングに効果の一致,一般性がみられない点の解釈に中枢神経系の関与が示唆される.
 最大下の筋力(最大筋力の10%)を,持続的に発揮時の単一運動単位の活動状態を観察した時,筋力発揮終了時まで持続的に活動するもの,途中で活動を休止するもの,活動休止と再活動をするもの,活動参加してくるものの4種類の活動様式が存在した.このような運動単位活動様式は,筋持久性に対して何らかの決定因子になろう可能性が示唆される.
 本実験の目的は,ヒトにおいて,中枢神経系興奮の最終出力装置である脊髄α運動神経の興奮性を,筋電図学的手法を用いて観察し,静的筋持久性トレーニングの効果とそれに対する神経系調節機構の変容の存在について,検討することにある.

「デサントスポーツ科学」第14巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 森本茂*1, 稲荷教司*1, 河辺典子*1, 高橋静*1, 石山育朗*2
大学・機関名 *1 横浜国立大学, *2 國學院栃木短期大学

キーワード

持久性トレーニング運動単位活動様式筋電図中指屈曲