信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 性周期が運動時体温調節機構に及ぼす影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.16 Vol.16

 女性性周期にともなう低体温と高体温の各期に,運動時の身体各種部位の体温変化を観察することにより,性周期が体温調節機能に及ぼす影響を検討した.環境温度26±0.2℃,相対湿度60±5.9%の条件下で,自転車エルゴメータを用いて負荷漸増最大運動と60%Vo₂max強度を30分間一持続する最大下運動を行わせた.
 1)安静時,直腸温(Tre),鼓膜温(Tty)は,低体温期より高体温期で有意に高かった(P<0.01).高体温期では,酸素摂取量(Vo₂)も有意に高値を示した(P<0.05).それに対して,平均皮膚温(Tsk)は,低体温期に高い値を示した(P<0.05).2)最大,最大下運動中の総酸素摂取量とガス交換比(R)に有意な差異は認められなかった.3)最大,最大下運動時の各種体温パラメータの経時的な変化は,低体温,高体温の両期で同様の傾向であった.しかし,Tre,Tty,平均体温(T ̅b)の変化量は高体温期より低体温期で大きかった.また,平均皮膚温(T ̅sk)の変化量は両期に大きな差はみられなかった.
 以上のことから,高体温期には低体温期より,運動中の体温調節におけるset-pointの上昇あるいはthermosensitivityの増大があるものと考えられた.

「デサントスポーツ科学」第16巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 加茂美冬, 森本茂
大学・機関名 横浜国立大学

キーワード

性周期体温調節機能自転車エルゴメータ負荷漸増最大運動持続する最大下運動