信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF スポーツウェアによる皮膚圧迫と運動パフォーマンスに関する基礎的研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.17 Vol.17

 機能的なスポーツウェアを開発するための基礎資料を得ることを目的として,循環器系疾患のない健康な成人男子8名を対象として,両大腿部を圧迫し,仰臥位での自転車エルゴメータによるペダリング動作を行わせ,筋放電量,心拍数血流量および圧迫感覚への影響を検討した.また,皮膚感覚疾患のない成人男子34名を対象として,大腿部用マンシェットを用いての絶対的な加圧量の変化と圧迫感覚との関係,および市販のウェアを用いた体感加圧量と圧迫感覚との関係を検討した.
 股関節伸展筋群では,10mmHg加圧時には大殿筋・大腿二頭筋の筋放電量に増加が認められたが,40mmHg加圧時には大内転筋,半腱様筋,半膜様筋の放電量が顕著に増加した.心拍数は,40mmHg加圧時に増加傾向を示した.腹大動脈血流量は運動中,急激に増加したが加圧量が増大するにしたがって,その時期は遅れる傾向を示した.マンシェットを用いての加圧と市販のウェアを着用した体感加圧とを,カテゴリースケールを用いて圧迫感覚を判定させた結果,絶対加圧量よりも体感加圧量の方が小さく判定される傾向にあった.本研究結果より,大腿部の加圧を10mmHg-20mmHgの範囲で行うことによって,長時間の運動遂行に好影響をもたらす可能性が示唆された.

「デサントスポーツ科学」第17巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 青木美枝*1, 吉澤正尹*2, 三澤利博*3, 浜田敏彦*4
大学・機関名 *1 福井市上郷小学校, *2 福井大学, *3 福井総合病院, *4 福井医科大学

キーワード

スポーツウェア自転車エルゴメータ筋放電量圧迫感覚体感加圧量