信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF ヨモギ遠赤外外焙煎抽出の投与が運動負荷時の脂質過酸化に及ぼす影響について

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.17 Vol.17

 ヨモギには抗酸化作用を有する物質がいくつか含まれている,そこで,遠赤外焙煎したヨモギ乾燥葉を熱水抽出し,その遠心上清を減圧濃縮して粉末化したヨモギ抽出物の,運動時の過酸化脂質の生成に対する抑制効果の有無を検討した.
 実験1として,10週齢の雌のBalb/cマウスに,運動負荷の1時間前と運動直前および運動直後の計3回,蒸留水に溶解したヨモギ抽出物またはビタミンCを胃内投与しながら,疲労困慧に至る走運動をトレッドミルで負荷し,運動終了1時間後の血漿,肝臓,腎臓,腓腹筋の過酸化脂質を水のみの投与群と比較検討した.この結果,血漿および各組織のTBA反応物質(TBARS : Thiobarbituric Acid Reactive Substances)の量は,ヨモギ抽出物投与群,ビタミンC投与群,水投与群で有意な差は認められなかった.
 実験2として,健康な女子学生に対し,運動前および運動直後にヨモギ抽出物を投与しながら,疲労困慰に至る自転車こぎ運動を負荷した際の尿中TBARS排泄量を調べた.この結果,ヨモギ抽出物投与は水投与時に比較して運動後の尿中TBARSの排泄を有意に増加させた.
 以上の結果より,遠赤外焙煎ヨモギ抽出物の一過性投与は,激しい運動時の過酸化脂質の生成に対する抑制効果はほとんど認められなかったが,腎での過酸化脂質の排泄低下を改善する可能性が示唆された.

「デサントスポーツ科学」第17巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 三上俊夫
大学・機関名 日本医科大学

キーワード

ヨモギ抗酸化作用運動過酸化脂質