信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 肥満傾向にある中高年女性における骨粗鬆症の積極的予防に関する研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.17 Vol.17

 8人の肥満傾向のある中高年女性[年齢49.4±3.1(標準誤差)歳,BMI27.2±0.5]において,全身および局所の体組成と骨密度に及ぼす12週間の運動トレーニングの影響を二重エネルギーX線吸収法(DEXA)を用いて評価した.運動トレーニングは最大酸素摂取量推定値を増加させた.DEXA法による測定の結果,全身の脂肪量は平均で3.6kg減少したが,全身の除脂肪量は変化しなかった.トレーニングにより腕,脚,体幹の脂肪量の減少を示した.全身,第1-4腰椎,大腿骨頸部の骨密度に有意な変化はみられなかった.さらに,骨代謝を評価するため:オステオカルシン(骨形成のマーカ)と酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(骨吸収のマーカ)を測定した.運動トレーニングはオステオカルシンの減少と酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼの増加を引き起こした。
 以上の結果から,全身と局所の脂肪量の減少を引き起こす12週問の運動トレーニングは全身と局所の骨密度を増加させるためには不十分であることが示された.運動トレーニングは骨吸収を促進させたが,このことは全身と局所の骨密度の変化とは必ずしも結びつかなかった.この矛盾点を説明するには今後さらに検討が必要である.

「デサントスポーツ科学」第17巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 尾尻義彦, 吉川朝昭
大学・機関名 琉球大学

キーワード

肥満中高年女性骨密度運動トレーニング脂肪量