トライアスロン競技の成績を決定する上での呼吸循環系能力からみた規定因子について
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.17 Vol.17】
本研究では,トライアスロンの競技成績にVo₂max ventilator threshold(VT),およびトライアスロンをシミュレーションした際の呼吸循環応答がどのくらい貢献するかを調べた.9名の一流男性トライアスリートに実験室内で,瑞福、およびVo₂@VTを求めるために水泳,自転車こぎ運動,およびランニングによる最大運動テストを行った.次に,各運動時の60%Vo₂maxで流水プールによる水泳を45分(S),自転車エルゴメータによる自転車こぎ運動を75分(C),およびトレッドミルによるランニングを45分(R)を連続に運動するシミュレーションテストを行った.シミュレーションテスト時の呼吸循環応答の指標は,各運動ステージの10分目のVo₂,VEおよびHRの値を基準に最終分での値の変化率(⊿)とした.その結果,トライアスロンの競技成績(合計時間)と各運動時のVo₂maxおよびVo₂@VTとの間には有意な相関関係が認められなかった.一方,合計時間と、⊿C-HR(r=0.753),⊿R-Vo₂(r=0.670),⊿R-VE(r=0.834),および⊿R-HR(r=0.704)との間には有意な相関関係が認められた.したがって,一流トライアスリートの競技成績には,Vo₂maxおよびVTといった因子よりも,シミュレーションテスト時後半におけるVo₂,VE,およびHRの増加程度の小さいことの方が大きく影響を及ぼすことが明らかになった.
「デサントスポーツ科学」第17巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
「デサントスポーツ科学」第17巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 三浦哉*1, 北川薫*2, 石河利寛*2 |
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大学・機関名 | *1 徳島大学, *2 中京大学 |
キーワード
トライアスロン、ventilator threshold(VT)、呼吸循環応答、流水プールによる水泳、自転車エルゴメータ、トレッドミルによるランニング