信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 消化吸収からみたストレス,運動トレーニングおよび加齢の功罪

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.17 Vol.17

 本研究では,ストレス負荷,運動トレーニングおよび加齢が,小腸における糖質の吸収に及ぼす影響を2週間の尾部懸垂法によるストレス負荷およびストレス負荷後4週聞の運動負荷の条件で腸管の吸収にいかなる影響を与えるかをウィスター系雄性ラットの翻転腸管を用いて検討した.2週間の懸垂ストレス負荷は体重を有意に減少させたが,負荷終了後,体重は増加した.懸垂によるストレス負荷終了後の体重の増加は運動負荷により促進した.またストレス負荷は小腸におけるグルコースの吸収を充進させた.ストレス負荷終了後2週間の通常飼育により,グルコースの吸収速度はほぼ対照群の値にまで低下し,4週間の通常飼育後も変化はなかった.ストレス負荷終了後に運動を負荷した群では,トレーニング開始4週間後,グルコースの吸収は著しく増加した.
 以上より,ストレス環境および運動負荷は,小腸における糖質の吸収を促進させ,さらにストレス環境下において充進した吸収機能は,ストレス環境への負荷期間と同じ期間のストレスフリー環境における通常生活にてほぼ回復すると考えられた.また,ストレス負荷により増加した腸管からのグルコースの吸収が運動負荷により,いったん低下した後に再び増加したことから,ストレス負荷と運動負荷による腸管からのグルコース吸収充進の機構は異なるものであると考えられた.

「デサントスポーツ科学」第17巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 平岡亮, 山下勝正, 吉岡利忠
大学・機関名 聖マリアンナ医科大学

キーワード

ストレス負荷運動トレーニング加齢糖質の吸収