信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 運動により変動する免疫担当細胞は血液−臓器間をどう動くか?

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.17 Vol.17

 トレーニングによる免疫担当細胞の臓器間の動態を検討するために,回転ドラム付ケージによる自由運動をC57BL/6マウスに課した.マウスは自由運動群(7匹)とコントロール群(5匹)に分けられた.自由運動群の運動開始は6週齢とし,トレーニング期間は6週間であった。総運動量は回転ドラム1回転を1mとして概算すると,507±90kmであった.
 6週間のトレーニングにより脾臓重量は統計的に有意に減少を示したが,胸腺,リンパ節(腸間膜)の重量に変化はなかった.血液,胸腺,脾臓リンパ節のCD90⁺,CD4⁺,CD8⁺,CD45R/B220⁺の相対値において統計的に有意な変化を示したのは,血中のCD4⁺とCD8⁺(上昇),および脾臓のCD8⁺とCD45R⁺(上昇,低下)であった.
 各臓器の免疫担当細胞と各臓器の重量の関係で統計的に有意な変化を示したのは,血中のCD8⁺と脾臓重量,胸腺のCD8⁺と脾臓(/体重)重量,および脾臓のCD45R⁺と脾臓(/体重)重量であった.各臓器の免疫担当細胞間の関係は血中のCD4⁺とリンパ節のCD4÷間にr=-0.816(P<0.05)の相関がみられた.血中のCD4⁺は,リンパ節のCD4⁺と負の相関(P<0.05)があり,CD8⁺は脾臓重量と有意な相関(r=-0.872:P<0.05)がみられたことから血中への細胞の供給はその源を異にする可能性が示唆された.また,血液,脾臓におけるリンパ球の構成比の変化は細胞数の絶対値の増減というより,細胞による臓器間の移動と解釈するのが妥当と結論した.

「デサントスポーツ科学」第17巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 小川芳徳, 米本恭三
大学・機関名 東京慈恵会医科大学

キーワード

トレーニング免疫担当細胞臓器脾臓