漸減負荷運動による乳酸除去能力の悲観血的測定法に関する研究
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.17 Vol.17】
本研究では,漸増(lnc)および漸減負荷運動(Dec)中の血中乳酸濃度と換気パラメータとの動態を観察することによって,運動中の乳酸除去能力を評価する指標に関して検討することを目的とした.その結果,以下のことが明らかにされた.
1)運動中のVo₂max,はDecがlncに比較して高値を示し,両運動負荷問に有意差が認められた(P<0.05〜P<0.001).
2)作業負荷(W)に対するVo₂の変化率(ΔVo₂/ΔW)および心拍数(ΔHR/ΔW)は,DecがIncに比較して有意な高値を示した(P<0.001).
3)酸素需要量は,Incで27.29±5.791およびDecで29.62±6.381でありDecがIncに比較して有意な高値を示した(P<0.01).
4)同一作業負荷に対するHLa濃度は,DecがIncに比較して高値を示し,両群間に有意差が認められた(P<0.001).
5)Inc(VT1)およびDec(VTD)における換気パラメータの変曲点は,ほぼ同様の値を示した(27.7±3.49および28.5±3.11ml/kg/min).
6)LTDはLTIに比較して低値を示し(LT1;24.4±4.04およびLTD;19.2±3.74ml/kg/min),両変曲点問に有意差が認められた(P〈0.001).OBLADはOBLAIに比較して有意(P<0.001)な低値を示した.
7)VTIとVTDの問には有意な相関関係が認められ(P<0.001),かつ両者の回帰直線が同一線上とほぼ一致した.
8)R-breakpointは,VTDとの間のみに有意な相関関係(r=0.536;P<0.01)が認められた.
9)LTIとLTDの間には有意な相関関係は認められなかったが,OBLA1とOBLADとの間には有意な相関関係が認められた(P<0.001).
10)Dec中のΔVo₂/ΔLTDとの間には,有意な相関関係(r=0.412;P<0.05)が認められた.以上の結果より,漸減負荷運動時の換気パラメータ(ΔVo₂/ΔW)の測定によって,乳酸の除去能力(LTD)の非観血的な評価の可能性が示唆された.しかしながら,乳酸除去能力の指標としてのLTDやΔVo₂/ΔWの妥当性については,今後の研究に期待される.
「デサントスポーツ科学」第17巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
1)運動中のVo₂max,はDecがlncに比較して高値を示し,両運動負荷問に有意差が認められた(P<0.05〜P<0.001).
2)作業負荷(W)に対するVo₂の変化率(ΔVo₂/ΔW)および心拍数(ΔHR/ΔW)は,DecがIncに比較して有意な高値を示した(P<0.001).
3)酸素需要量は,Incで27.29±5.791およびDecで29.62±6.381でありDecがIncに比較して有意な高値を示した(P<0.01).
4)同一作業負荷に対するHLa濃度は,DecがIncに比較して高値を示し,両群間に有意差が認められた(P<0.001).
5)Inc(VT1)およびDec(VTD)における換気パラメータの変曲点は,ほぼ同様の値を示した(27.7±3.49および28.5±3.11ml/kg/min).
6)LTDはLTIに比較して低値を示し(LT1;24.4±4.04およびLTD;19.2±3.74ml/kg/min),両変曲点問に有意差が認められた(P〈0.001).OBLADはOBLAIに比較して有意(P<0.001)な低値を示した.
7)VTIとVTDの問には有意な相関関係が認められ(P<0.001),かつ両者の回帰直線が同一線上とほぼ一致した.
8)R-breakpointは,VTDとの間のみに有意な相関関係(r=0.536;P<0.01)が認められた.
9)LTIとLTDの間には有意な相関関係は認められなかったが,OBLA1とOBLADとの間には有意な相関関係が認められた(P<0.001).
10)Dec中のΔVo₂/ΔLTDとの間には,有意な相関関係(r=0.412;P<0.05)が認められた.以上の結果より,漸減負荷運動時の換気パラメータ(ΔVo₂/ΔW)の測定によって,乳酸の除去能力(LTD)の非観血的な評価の可能性が示唆された.しかしながら,乳酸除去能力の指標としてのLTDやΔVo₂/ΔWの妥当性については,今後の研究に期待される.
「デサントスポーツ科学」第17巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 根本勇, 中村夏実, 黒田善雄 |
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大学・機関名 | 日本女子体育大学 |
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