信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 綿および再生セルロース系スポーツ下着の繊維構造と湿潤熱

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.17 Vol.17

 本研究では,湿潤熱を高精度に測定可能な熱量計を設計・試作し,代表的なセルロース系繊維である綿,普通レーヨン,強力レーヨンおよびテンセルの湿潤熱を測定し,繊維の高次組織構造,結晶構造,結晶化度および吸水特性と湿潤熱との関係を検討した.
 綿は比較的高い水分率(water regain)を有するにも拘わらず,湿潤熱は測定試料の中では一番低い値であった.これはその高い結晶性に基因し,湿潤熱は試料の高次組織構造や結晶構造および微結晶サイズなどには余り影響されず,主として試料の結晶化度に依存することが判明した.また,湿潤熱はセルロース分子に吸着された結合水量と良い相関関係にあり,結合水量の多い試料ほど湿潤熱が高いことを明らかにした.これらの結果をもとに,スポーツ用衣料素材に適したセルロース系繊維の分子設計指針について言及した.

「デサントスポーツ科学」第17巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 水谷千代美*1, 辻井敬亘*2, 福田猛*2
大学・機関名 *1 武庫川女子大学, *2 京都大学

キーワード

湿潤熱セルロース系繊維高次組織構造吸水特性結合水量