信州大学 繊維学部技術データベース

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PDF 血圧からみた高年齢者の水中運動プログラムの安全性と妥当性

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.17 Vol.17

 高年齢者を対象とした水中運動の安全性と妥当性を血圧変化の観点から検討した.被験者を3つの群(グループI:平均年齢21.8歳グループII:38.0歳グループIII:55.4歳)に分けた.陸上運動と水中運動において同一運動プロクラムを実施し,各群ごとに陸上運動と水中運動時の血圧変化を比較した.
 運動プログラムは14分間のエクササイズであり,ストレッチング,ウォーミングアップ,主運動,クーリングダウンからなる.主運動時において最も高い心拍数を示した時点での対体重酸素摂取量は,陸上運動で16.6±1.52ml/min/kg,水中運動で15.8±2.39ml/min/kgであった.概ね40〜60%Vo₂maxの相対的運動強度を示した.実験は温水プールを用いて実施した.水温は30℃,室温30℃,水位は腰部および大腿部とし,陸上運動を陸上条件,水中運動を水中条件として比較した.血圧測定は前値,運動終了直後,運動終了5分後とした.運動中は心拍数を連続的に記録した.
 心拍数は主運動に移行後増加し,最大で120拍/min(陸上条件),110拍/min(水中条件)をとった.両者に有意な差がみられた.血圧は運動終了直後グループ1群で10mmHg水中条件が有意に低下した.しかしながら,グループIIはほぼ同じ値をとり,グループIIIではむしろ高い値をとった.このことは高年齢者において必ずしも血圧が低い値をとらないことを示唆する.水中条件におけるグループ皿群の被験者の個々の血圧の変化は,前値で境界領域以上高い収縮血圧をとったとき,浸水や運動後に低値に調節されないことを示す.水中運動において高齢者は,血管に由来する変化に伴い血圧は必ずしも低い値をとらないことが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第17巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 小野寺昇, 宮地元彦, 矢野博己
大学・機関名 川崎医療福祉大学

キーワード

高年齢者水中運動血圧変化