信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 生体反応のゆらぎを指標にした運動時の安全対策の試み

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.17 Vol.17

 運動開始前のスクリーニングとして心拍数のゆらぎの有用性について検討した.被験者に2km走のタイムトライアルを異なる間隔(24時間,1,2週間および3ヵ月)で負荷し,運動中,後の心拍数,加速度の変化を記録した.R-R問隔のデータをスペクトル解析し,トータルパワーを低周波数成分(LF)と副交感神経活動の指標とされる高周波数成分(HF)に分類した.また,心拍変動の1/fxゆらぎについて検討を加えた.LF,HFともに運動により強く抑制された.
 1/fxの係数xは,運動負荷により大きく変動し,運動間隔が24時間の場合,他の運動間隔のときとは大きく異なる変動を示した.また.交感神経活動の指標とされるLF/HFの運動負荷による変動は,運動間隔が1週間のときにのみ,顕著な変動が認められた.また,各運動負荷中の心拍数および加速度データ,走行時間,血清酵素活性値の変動から,本研究で用いた運動負荷は,運動間隔によりその負荷強度に大きな差異はなかったと考えられた.以上のことから,運動負荷による生体反応を検出できる心拍変動のスペクトル解析は,運動時の事故防止あるいはトレーニング効率の向上を考えるうえで極めて有用な手段であると考えられた.

「デサントスポーツ科学」第17巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 吉岡利忠, 山下勝正, 田中修, 小林康孝
大学・機関名 聖マリアンナ医科大学

キーワード

心拍数のゆらぎ副交感神経活動交感神経活動の指標運動負荷生体反応心拍変動スペクトル解析