信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 若年者スポーツ選手と高齢者における骨塩量と運動習慣の骨に与える効果についての研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.22 Vol.22

 我々は,運動習慣の骨に与える効果について検討する目的で,女子大学スポーツ選手(n=17),男子大学スポーツ選手(n=27),中高年ゲートボール・水中運動愛好者(n=39)に対し,骨密度に関する調査を行い,以下の結果を得た.
 1)女子大学水泳選手群では一般女性群と比べ,脛骨骨密度は有意に低かった.女子大学柔道選手群では一般女性群に比し,体脂肪率が有意に低く,腰椎・脛骨骨密度が有意に高く観察された.
 2)男子大学バスケットボール選手群の左大腿骨頚部においては,対日本人同性平均ピーク値比は約133%であり,その数値は陸上短距離群に比し有意に高かった.またバスケットボール群の左大腿骨頚部骨密度もバレーボール群,柔道群,陸上短距離群と比較して高値を示した.
 3)約10ヶ月の期間の前後の腰椎骨密度を比較すると,ゲートボール男性群(平均年齢74.6歳,平均運動時間28.4時間/月)では有意な減少を示し,専門家の講義や指導を受け,牛乳摂取量も多い水中運動群(平均年齢58.3歳,平均運動時間17.0時間/月)では増加を示した.
 以上の結果より.1若年期に柔道などの抗重力的運動を行うこと,2大腿骨・前腕骨の骨量増加には,とくにバスケットボール競技の有効性が高いこと,3中・高年期においては,穏和な運動・牛乳などからのカルシウム摂取・疾患教育の併用で骨量の維持を計ること,などが骨粗鬆症予防対策と関連して,重要であると考えられた.

「デサントスポーツ科学」第22巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 赤嶺卓哉,田口信教,田中孝夫,荻田太
大学・機関名 鹿屋体育大学

キーワード

運動習慣骨密度中・高年期穏和な運動骨粗鬆症