信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 高齢者の快適で安全な生活支援のための色彩の役割について

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.26 Vol.26

 本研究は,高齢者の色彩弁別能力の実態についての報告である.移動可能な実験装置と100huetestを用いて高齢者の色彩弁別能力の調査を行った.調査結果は年齢層別,眼疾患有無別に100色相すべてを示す方法で分析した.その結果,総偏差点と暦年齢,総偏差点と視力との関係に相関がみられ,加齢が進行するにつれてすべての色彩弁別能力は低下することが確認できた.100色相別の色彩弁別能力は,すべての年齢層で赤紫(RP)および青緑(BG)領域の色相では低く,逆に黄(Y)・黄赤(YR)および青紫(PB)領域の色相では高かった.このことは,高齢者層では識別し易い色相とし難い色相があることを示唆している.また,眼疾患有無別では,白内障を発症した者とそうでない者との間で色彩弁別能力に有意な差がみられ,白内障による色の見え方への影響が大きいと考えられる.従って,加齢にともなう色彩弁別能力の低下には,視力,水晶体の黄変化,白内障などさまざまな影響が考えられる.

「デサントスポーツ科学」第26巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 川口順子*1,栃原裕*2,庄山茂子*3,團野哲也*1
大学・機関名 *1 高知女子大学,*2 九州大学大学院,*3 県立長崎シーボルト大学

キーワード

高齢者色彩弁別能力