信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 選手の素早い反応を実現する超短潜時の視覚運動処理系の特性

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.34 Vol.34

 要旨

 スポーツにおいて重要と考えられる素早い運動応答の制御特性を理解するために,到達運動中の視野背景の運動が誘発する超短潜時の運動応答が示す抑制現象の原因を,心理物理実験により検討した.まず被験者は60回の到達運動を4セット行い,運動中に視野背景を移動させ運動応答を誘発した(実験1).すると,セットの反復に伴い運動応答の振幅は有意に減少した.次に全く同じ到達運動を1セット行った後,視野背景の移動方向をボタン押しで回答する選択反応課題を60回2セット,最後に到達運動を1セット行った(実験2).その結果,被験者は実験1と全く同じ視覚刺激の量に暴露されたにも関わらず,運動応答の振幅は変化しなかった.つまり,この運動応答の抑制は視覚刺激に対する暴露量ではなく,運動応答の生成回数が強く影響することが明らかとなった.これら結果から,運動生成系やより高次の処理系がこの応答抑制の主要な座である可能性が示唆された.

「デサントスポーツ科学」第34巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 門田浩二,木下博
大学・機関名 大阪大学大学院

キーワード

運動応答視野背景心理物理実験