信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF COPD 患者の運動時および運動後の前頭前野の酸素化動態と注意機能に関する研究 −酸素吸入効果の検討−

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.34 Vol.34

 要旨

 運動誘発性低酸素血症(EIH)を有する14例の慢性閉塞性肺疾患(COPD)症例に運動時に伴う前頭前野の酸素化能と運動後の注意機能に及ぼす効果,さらに酸素吸入の影響について検討した.
 COPD患者の安静時の注意機能(TMT)は95.6±18.7秒と低下していたが,AT強度の運動に伴い,酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)の増加に伴って,注意機能は83.9±15.9秒に有意に改善した.しかし頸動脈内膜-中膜膜厚(IMT)により頸動脈の硬化がみられる2症例では運動中・後のoxy-Hbの上昇が抑制され,注意機能の改善は認められなかった.3L/分の酸素吸入により前頭前野の組織酸素化能(TOI)の上昇に伴ってTMTは85.2±19.5秒に有意に改善したが,酸素吸入による運動では,注意機能のさらなる改善は認められなかった.
 以上より,COPD患者の注意機能は,運動に伴うSpO₂の低下に加えて,脳内の酸素化能の動態に影響する頸動脈硬化が関与する.この影響は酸素吸入によるさらなる効果は認められなかった.

「デサントスポーツ科学」第34巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 藤本繁夫,小林茂,吉川貴仁,織田恵輔,平田一人
大学・機関名 大阪市立大学大学院

キーワード

運動誘発性低酸素血症(EIH)慢性閉塞性肺疾患(COPD)注意機能(TMT)酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)組織酸素化能(TOI)