信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF アマチュアボクシングにおいて頭部に作用する 衝撃の安全・非侵襲な直接計測

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.36 Vol.36

 要旨

 本研究では,アマチュアボクシングの打撃動作の衝撃を安全・非侵襲に計測する事を目的とした.2名のボクシング経験を持つ右利きの被験者からパンチ動作中のデータを取得した.動作は(1)左ジャブ,(2)ワン・ツー,(3)ワン・ツー・スリー,(4)ワン・ツー・フックの4試技であった.それぞれの試技について30秒を計測時間とし,その間に適度な間隔で練習用ミットに対して打撃を行った.光学式モーションキャプチャーシステムを用いて250Hzで座標データを取得した.またフォースプレートが15枚長方形状に敷き詰められた計測環境で,左・右脚に作用する床反力を独立に計測した.更に小型・軽量・ウェアラブルな加速度センサで加速度データを取得した.加速度センサは被験者のグローブ両手首部背側に装着した.光学式モーションキャプチャーシステムおよびフォースプレートから得られたデータに基づき,前者ではパンチ一発あたりの衝撃が10.00〜19.87kg・m/s,後者では7.28N・s〜9.85N・s程度であるとの結果が得られた.加速度センサを用いた計測によりその衝撃は瞬間的に±16Gを上回る事も明らかとなった.本成果はボクシング等の強い衝突を含む動作においても衝撃を信頼性高く定量評価できる可能性を示すものであり,今後の研究を発展させて行く礎となる知見が得られたものと考える.

「デサントスポーツ科学」第36巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 長野明紀
大学・機関名 立命館大学

キーワード

ボクシング非侵襲光学式モーションキャプチャーシステムフォースプレート加速度センサ