高体温時の認知機能低下の機能的磁気共鳴画像法による空間的神経ネットワーク評価
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.39 Vol.39】
要旨
暑熱環境下運動時には高体温による中枢性疲労によって運動パフォーマンスが低下する.同様に認知機能が低下することが報告されている.本研究では機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて,暑熱負荷中の認知機能テスト時の空間的神経ネットワークを評価した.18名の健康な若年者が参加し,暑熱負荷前および外耳道温が1.1℃上昇した後に,2種類の認知機能テスト(Go/No-go課題およびFlanker課題)をMRI室内で実施し,反応時間および神経活動領域を測定した.反応時間はいずれの課題においても暑熱負荷によって短縮したがエラー率に暑熱による影響はほとんど認められなかった.脳活動部位は.両課題とも暑熱負荷によって補足運動野および運動前野等の運動関連領域,背外側前頭前野が活発化し,Flanker課題では視覚刺激の認知処理に関与する視覚野と側頭連合野の活動が高まった.これらの結果は同じ課題を遂行する場合であっても,暑熱負荷によって脳活動への負担が高まったことを示唆するものである.
「デサントスポーツ科学」第39巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
暑熱環境下運動時には高体温による中枢性疲労によって運動パフォーマンスが低下する.同様に認知機能が低下することが報告されている.本研究では機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて,暑熱負荷中の認知機能テスト時の空間的神経ネットワークを評価した.18名の健康な若年者が参加し,暑熱負荷前および外耳道温が1.1℃上昇した後に,2種類の認知機能テスト(Go/No-go課題およびFlanker課題)をMRI室内で実施し,反応時間および神経活動領域を測定した.反応時間はいずれの課題においても暑熱負荷によって短縮したがエラー率に暑熱による影響はほとんど認められなかった.脳活動部位は.両課題とも暑熱負荷によって補足運動野および運動前野等の運動関連領域,背外側前頭前野が活発化し,Flanker課題では視覚刺激の認知処理に関与する視覚野と側頭連合野の活動が高まった.これらの結果は同じ課題を遂行する場合であっても,暑熱負荷によって脳活動への負担が高まったことを示唆するものである.
「デサントスポーツ科学」第39巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 芝﨑学*1, 佐伯崇*2, 若原卓*1, 北條達也*1, 中田大貴*1 |
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大学・機関名 | *1 奈良女子大学, *2 同志社大学 |
キーワード