信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 低酸素環境下でのスプリントインターバルトレーニングによるトレーニング効果をエピジェネティクスで探る

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.38 Vol.38

 要旨

 本研究の目的は,低酸素環境下のスプリントインターバルトレーニングがヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)発現量やそれにより制御されているヒストンのアセチル化に与える影響について明らかにすることを目的として行った.若齢のWistar系雄性ラット24匹を,常圧常酸素コントロール群(20.9%O₂,normoxiccontrol; NC),常圧常酸素トレーニング群(NT),常圧低酸素コントロール群(14.5%O₂,hypoxiccontrol; HC)および常圧低酸素トレーニング群(HT)群に分けた.NT群およびHT群は,それぞれ常圧常酸素および常圧低酸素環境下において,週5~6回,9週間のスプリントインターバルトレーニングを実施した.本研究の結果,スプリントインターバルトレーニングによるラット腓腹筋のクエン酸合成酵素(CS)活性の増加は低酸素環境下でのみ有意であり,ヒストンH3におけるアセチル化状態の低下が認められた.その背景として,核内におけるSIRT1発現量には低酸素環境下においてのみトレーニングによる増加が認められた.以上のことから,常圧低酸素環境下でトレーニングを行うことによってCS活性の向上が認められるが,その調節に関わるメカニズムとして,SIRT1を介したヒストンH3リジン9および27残基の脱アセチル化の亢進が関与している可能性がある.

「デサントスポーツ科学」第38巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 吉原利典, 柿木亮
大学・機関名 順天堂大学

キーワード

エピジェネティクス低酸素ヒストン修飾スプリントインターバルトレーニングクエン酸合成酵素活性