信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 感覚運動制御からみた投動作の理解

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.38 Vol.38

 要旨

 「巧みな投げ」を実現する投動作について感覚運動制御の観点から,肌理の異なるボールを投球する際のリリース力とキネマティクスを検討した.5名の成人男性が,肌理の異なるシルクと紙やすりを貼付したボールを2.7m先の標的に正確に投げる課題を行った.その結果,肌理の違いは投射速度,手関節の可動範囲と垂直方向のリリース力に違いは認められなかった.しかしながら,シルクを貼付した際の水平方向のリリース力のピーク値と肘関節の可動範囲は紙やすりを貼付した場合よりも有意に小さかった.また,垂直方向のリリース力には,ピークが2つ見られ,最初のピークは手関節の最大背屈時と一致し,リリース直前のピークは投球方向に手が手首よりも前に出る時点とほぼ一致していた.これらのことから,肌理の違いにより投擲物に加える水平方向のリリース力に違いがあり,投動作の前半に加えられる力が,投擲物の推進力に,リリース直前に加えられる力が回転にかかわる力であることが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第38巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 山本裕二*1, 門田浩二*2, 木下博*2, 木島章文*3
大学・機関名 *1 名古屋大学, *2 大阪大学, *3 山梨大学

キーワード

投動作感覚運動制御巧みさリリース力ボールの肌理