大学生における高炭酸ガス負荷による脳血管拡張反応と動脈スティフネス,有酸素性作業能力との関連性
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.38 Vol.38】
要旨
本研究では,高炭酸ガス負荷による血管拡張反応が,動脈スティフネスや有酸素性作業能力とどのような関係にあるかを明らかにすることを目的とした.大学生24名が被験者として参加した.これらの被験者に対して,高炭酸ガス負荷試験により脳血管拡張反応性を,血圧脈波検査により動脈スティフネスとしてCardio-Ankle Vascular Index(CAVI)を,漸増運動負荷試験により最大酸素摂取量を測定した.高炭酸ガス負荷試験では,二呼吸のみ高炭酸ガスを吸入する方法を用い,血管の反応には,近赤外線分光装置(NIRS)による総ヘモグロビン濃度の変化を測定し,動脈二酸化炭素分圧の変化には,呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO₂)を測定した.高炭酸ガス負荷により心拍数は63±10拍/分から65±10拍/分へ上昇したが,平均血圧については変化が認められなかった.PETCO₂は38±4mmHgから51±3mmHgへ上昇し,総ヘモグロビン濃度は0.012±0.012mMの増加が認められた.本研究の被験者において,最大酸素摂取量は42.8±5.6ml/分・kg,CAVIは5.8±0.5であった.CAVIと最大酸素摂取量との間に負の相関が認められた(r=-0.47,P<0.05).一方,高炭酸ガスに対する脳血管の反応とCAVIとの間,最大酸素摂取量との間ともに有意な相関関係は認められなかった.これらの結果から,健康な若年男性において動脈スティフネスは有酸素性作業能力と負の相関関係が認められたが,本研究で用いた二呼吸のみ高炭酸ガスを吸入する簡潔的な高炭酸ガス負荷とNIRSによって評価された脳の血管拡張反応は動脈のスティフネスと有酸素性作業能力とも関連性が低い可能性が示唆された.
「デサントスポーツ科学」第38巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
本研究では,高炭酸ガス負荷による血管拡張反応が,動脈スティフネスや有酸素性作業能力とどのような関係にあるかを明らかにすることを目的とした.大学生24名が被験者として参加した.これらの被験者に対して,高炭酸ガス負荷試験により脳血管拡張反応性を,血圧脈波検査により動脈スティフネスとしてCardio-Ankle Vascular Index(CAVI)を,漸増運動負荷試験により最大酸素摂取量を測定した.高炭酸ガス負荷試験では,二呼吸のみ高炭酸ガスを吸入する方法を用い,血管の反応には,近赤外線分光装置(NIRS)による総ヘモグロビン濃度の変化を測定し,動脈二酸化炭素分圧の変化には,呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO₂)を測定した.高炭酸ガス負荷により心拍数は63±10拍/分から65±10拍/分へ上昇したが,平均血圧については変化が認められなかった.PETCO₂は38±4mmHgから51±3mmHgへ上昇し,総ヘモグロビン濃度は0.012±0.012mMの増加が認められた.本研究の被験者において,最大酸素摂取量は42.8±5.6ml/分・kg,CAVIは5.8±0.5であった.CAVIと最大酸素摂取量との間に負の相関が認められた(r=-0.47,P<0.05).一方,高炭酸ガスに対する脳血管の反応とCAVIとの間,最大酸素摂取量との間ともに有意な相関関係は認められなかった.これらの結果から,健康な若年男性において動脈スティフネスは有酸素性作業能力と負の相関関係が認められたが,本研究で用いた二呼吸のみ高炭酸ガスを吸入する簡潔的な高炭酸ガス負荷とNIRSによって評価された脳の血管拡張反応は動脈のスティフネスと有酸素性作業能力とも関連性が低い可能性が示唆された.
「デサントスポーツ科学」第38巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 井出幸二郎*1, 沖田孝一*1, 服部正明*2 |
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大学・機関名 | *1 北翔大学, *2 東海大学 |
キーワード