信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 短時間の温熱刺激が骨格筋糖輸送活性促進に及ぼすメカニズムの解明

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.38 Vol.38

 要旨

 我々はこれまでに短時間の温熱刺激が骨格筋糖輸送活性を亢進させることを報告したが,グリコーゲン代謝やタンパク質代謝への影響は不明であった.本研究では,温熱刺激がグリコーゲン合成とタンパク質合成に及ぼす影響を検討した.ラットから滑車上筋を単離して,緩衝液中にて熱刺激(42℃,30分間)を与えた.温熱刺激はグリコーゲン含有量を減少させ,グリコーゲン合成速度を亢進させたが,GSK3βのリン酸化を抑制し,glycogen synthaseのリン酸化に変化を与えなかった.一方,タンパク質合成速度は温熱刺激によって減少傾向を示し,p70S6Kと4E-BP1のリン酸化も抑制された.温熱刺激はタンパク質分解制御因子とオートファジー制御因子には影響を与えなかった.以上より,骨格筋への短時間の温熱刺激は,分子機序は同一でないものの,急性運動と同様に,グリコーゲン合成を促進させタンパク質合成シグナルを抑制する生理的刺激であることが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第38巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 後藤亜由美*1, 江川達郎*2, 林達也*2
大学・機関名 *1 京都大学・順天堂大学, *2 京都大学大学院

キーワード

骨格筋熱刺激タンパク質合成グリコーゲン合成タンパク質分解