信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 骨格筋におけるアディポネクチン・パラドクスはサルコペニア発症のキープレイヤーか?

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.38 Vol.38

 要旨

 本研究では,加齢によるマウスヒラメ筋および長趾伸筋におけるアディポネクチン発現量の変化を追究すると共に,アディポネクチンアナログAipoRon(AR)がC2C12細胞の筋管細胞への分化に及ぼす影響を検した.加齢によりヒラメ筋および長趾伸筋は共に筋重量が低下したが,その低下率はヒラメ筋に比べて長趾伸筋で大きかった.ヒラメ筋および長趾伸筋におけるアディポネクチン発現量は,共に加齢により増加したが,その増加率はヒラメ筋に比べて長趾伸筋で大きかった.AR添加量によりC2C12細胞の筋管細胞への分化が抑制され,筋タンパク量が減少した.この筋分化抑制作用はAR濃度に比例したものであった.しかし,アディポネクチン受容体1のノックダウンにより,ARの筋分化抑制作用は減弱した.以上より,加齢性筋肉減弱症の発症要因の1つとして,骨格筋細胞に発現するアディポネクチンによる筋分化抑制作用が関与することが示唆され,骨格筋量の制御においてもアディポネクチン・パラドクスが存在すると考えられた.

「デサントスポーツ科学」第38巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 後藤勝正
大学・機関名 豊橋創造大学大学院

キーワード

加齢性筋肉減弱症骨格筋アディポネクチンアディポネクチン受容体培養細胞