物質循環学コースの岩田拓記准教授らの研究グループが湖からの一酸化二窒素の放出に関する研究成果を発表しました。
2025年8月22日
【発表のポイント】
・最新の一酸化二窒素分析計を用いて、強力な温室効果ガスである一酸化二窒素の湖からの放出を高頻度で測定しました。
・一酸化二窒素の放出の日内変動の変動要因を解析し、風速変動や一酸化二窒素の生成・消費のバランスの変化が浅い湖からの一酸化二窒素の放出の変動を説明する上で重要であることを示しました。
・最新の一酸化二窒素分析計を用いて、強力な温室効果ガスである一酸化二窒素の湖からの放出を高頻度で測定しました。
・一酸化二窒素の放出の日内変動の変動要因を解析し、風速変動や一酸化二窒素の生成・消費のバランスの変化が浅い湖からの一酸化二窒素の放出の変動を説明する上で重要であることを示しました。
【概要】
一酸化二窒素は強力な温室効果ガスです。陸水は一酸化二窒素の放出源であり、その放出の変化を明らかにすることは全球の一酸化二窒素収支の正確な評価のために重要です。しかし、ガス採取とその分析に労力がかかることから、これまでは高頻度の測定が困難で、放出変化の評価は季節変化に限られてきました。私たちは野外においてリアルタイムで一酸化二窒素の分析ができる最新のレーザー吸光式の分析計(図1)をフローティングチャンバー(図2)と組み合わせることで、浅い富栄養湖である諏訪湖からの一酸化二窒素の放出の日内変動を調査しました。また、その分析計を用いて湖水中に溶けている一酸化二窒素の濃度も同時に計測を行いました。
一酸化二窒素は強力な温室効果ガスです。陸水は一酸化二窒素の放出源であり、その放出の変化を明らかにすることは全球の一酸化二窒素収支の正確な評価のために重要です。しかし、ガス採取とその分析に労力がかかることから、これまでは高頻度の測定が困難で、放出変化の評価は季節変化に限られてきました。私たちは野外においてリアルタイムで一酸化二窒素の分析ができる最新のレーザー吸光式の分析計(図1)をフローティングチャンバー(図2)と組み合わせることで、浅い富栄養湖である諏訪湖からの一酸化二窒素の放出の日内変動を調査しました。また、その分析計を用いて湖水中に溶けている一酸化二窒素の濃度も同時に計測を行いました。

図1 レーザー吸光式の一酸化二窒素分析計

研究により、一酸化二窒素の放出は日内で変動し、風速の増加とともに放出量が増加することがわかりました。また、夏季に湖水が安定成層を形成し、湖底付近に生成された一酸化二窒素が蓄積する状況下では、湖水混合によって表層水中の一酸化二窒素の溶存濃度が変動し、それが放出量の変化を説明する上で重要であることがわかりました。加えて、浅い湖では、溶存酸素の変化により一酸化二窒素の生成・消費のバランスが日内で変動し、それが大気への放出に影響する可能性があります。これらの発見は一酸化二窒素の年間放出量を正確に推定するためには、日内変動を考慮することが必要であることを示しています。
【論文情報】
タイトル
Subdaily variations in nitrous oxide fluxes from the littoral zone of a temperate eutrophic lake
著者
Hiroki Iwata, Shunta Kawagishi, Kenshi Takahashi, Yuichi Miyabara, Hirohiko Nagano, Masayuki Itoh, Kazuki Suzuki, and Atsushi Urai
掲載誌
Inland Waters
Volume 15, No. 1, 2485963
DOI: 10.1080/20442041.2025.2485963
タイトル
Subdaily variations in nitrous oxide fluxes from the littoral zone of a temperate eutrophic lake
著者
Hiroki Iwata, Shunta Kawagishi, Kenshi Takahashi, Yuichi Miyabara, Hirohiko Nagano, Masayuki Itoh, Kazuki Suzuki, and Atsushi Urai
掲載誌
Inland Waters
Volume 15, No. 1, 2485963
DOI: 10.1080/20442041.2025.2485963