【概要】
理学科物理学コース 高野恵介 助教，宮丸文章 教授，京都大学 中西俊博 講師，大阪大学 中田陽介 准教授，沖縄科学技術大学院大学 Keshav M. Dani 教授らの研究グループは，時間壁によるテラヘルツ波の周波数下方変換に関する研究成果を発表しました。

強い光源が得にくい超高周波であるテラヘルツ波の周波数変換は，従来の手法では効率が低いという問題がありました。これに対して，時間壁を用いる電磁波の周波数変換は，光源の強さによらない周波数変換効率が得られるため，テラヘルツ波の周波数変換にも適します。研究グループはこれまでに，半導体導波路を伝搬するテラヘルツ波に時間壁を作用させることで，これまでにない高い効率で周波数上方変換ができることを示してきました。一方で，周波数下方変換が可能な導波路構造や条件は見出されていませんでした。

本研究で，導波路内テラヘルツ波が時間壁でより低い周波数に変化する条件を理論的に見出し，実験的に実証しました。上方，下方への周波数変換が，導波路に入力するテラヘルツ波の振動方向(偏光)によって選択できることも明らかになりました。テラヘルツ波の応用に不可欠な任意の周波数変換技術の基礎となることが期待されます。

本研究成果は，DE GRUYTERが刊行する国際誌Nanophotonics誌に2024年5月20日付で掲載されました。