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物理学コースの宮丸文章教授,高野恵介助教らの研究グループが,時間壁による周波数変換における伝搬ロスのマネジメントに関する研究成果を発表しました。

2024年4月25日
【発表のポイント】
・時間壁を用いて,テラヘルツ波の高効率な周波数変換を実現しました。
・時間壁前後で,テラヘルツ波の伝搬ロスが異なることによる,テラヘルツパルス形状が崩れる問題が有りました。
・金属パターニングにより,時間壁前後の伝搬ロスをほぼ同じ大きさにできることを実験的に観測しました。
【概要】
理学科物理学コース 宮丸文章 教授,高野恵介 助教,京都大学 中西俊博 講師,大阪大学 中田陽介 准教授,沖縄科学技術大学院大学 Keshav M. Dani 教授らの研究グループは,テラヘルツ波の周波数領域において,時間壁による周波数変換における伝搬ロスのマネジメントに関する研究成果を発表しました。
高効率な周波数変換を実現するために,時間壁はもっとも有効な手段のひとつです。本研究では,半導体導波路の表面を光励起することにより,導波モードを瞬間的に変化させる時間壁を生成することにより,テラヘルツ波の周波数変換を行いました。
しかし,時間壁の前後でテラヘルツ波の伝搬ロスの差がおおきく,それゆえ,テラヘルツ波のパルス形状が崩れるという問題がありました。
本研究では,半導体導波路表面に金属パターンを作製することによって,時間壁の前後の伝搬ロスをほぼ同じ大きさにできることを実験的に観測しました。それによって,テラヘルツ波のパルス形状を保持したまま,周波数変換を行うことができるようになります。本技術は,将来のテラヘルツ集積回路などへの応用にとって有益であると期待されます。
本研究成果は,米国物理学会(American Physical Society)が刊行する国際誌Physical Review Applied誌に2024年4月24日付で掲載されました。
【用語解説】
1.時間壁:空間的に例えば屈折率が異なる境界は,電磁波にとって空間壁として認識されます。この空間壁の時間的な対応物が時間壁です。つまり,時間的に突然屈折率などが変化する境界を,時間壁と呼んでいます。
2.テラヘルツ波:テラヘルツ波は,ある周波数領域の電磁波を表す名称です。電磁波は,その周波数に対応して,ラジオ波,マイクロ波,赤外線,可視光線,紫外線などの名称があります。テラヘルツ波は,およそ0.1〜10THz付近の周波数領域の電磁波を指しています。
【論文情報】
タイトル
”Attenuation management in terahertz frequency conversion with temporal boundary using a metallic structure”
著者
Fumiaki Miyamaru, Miki Amaki, Keisuke Takano, Joel Pérez-Urquizo, Julien Madéo, Keshav M. Dani, Yosuke Nakata, and Toshihiro Nakanishi
掲載誌
Physical Review Applied DOI: 10.1103/PhysRevApplied.21.044044
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