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生物学コース東城幸治教授を代表とする研究グループがトゲタニガワトビケラ類を対象に分子系統解析による系統進化史を究明しました。

2022年7月26日
生物学コース東城幸治教授を代表とする研究グループが,トゲタニガワトビケラ類を対象に分子系統解析による系統進化史を究明しました。また、ノザキタニガワトビケラの種内では、側所的に分化した遺伝系統群同士が二次的に接触している地域において、これらの系統間での交尾器形態が異なるような形態的分化が生じていることを明らかにしました。異なる遺伝系統間での交雑を回避するような「形質置換 character displacement」と考えることができ、種分化の移行段階のユニークな現象といえます。

【研究成果のポイント】
● トゲタニガワトビケラ類を対象に、DNAバーコード領域(ミトコンドリアDNA COI領域, 658塩基)と核DNAのゲノムワイドな16254座位のスニップ(SNPs 一塩基多型,)解析を実施し、信頼性の高い系統関係を推定した。

● キタタニガワトビケラ Kisaura borealis に対して、ノザキタニガワトビケラ Kisaura nozakii が側系統群 Paraphyly を構成することが明らかとなった。

● キタタニガワトビケラ種は遺伝的に分化した4つの系統から構成され、遺伝分化した2つの系統が二次的に接触している愛媛や岡山では、互いの交尾器形態が異なっていること、これらの系統間では遺伝的交流が認められないことが明らかとなった。

● すなわち、異なる遺伝系統が出会う地域では、異なる遺伝系統間での交雑を回避するような「形質置換 character displacement」が生じており、種分化の移行段階のユニークな現象といえる。
【論文タイトルと著者等】
タイトル:Phylogeography of Kisaura Ross (Trichoptera: Philopotamidae) of the Japanese Archipelago and the character displacement evolution observed in a secondary contact area between genetically differentiated intra-specific lineages

著者:Suzuki, Tomoya、 Kuhara, Naotoshi、 Tojo, Koji
掲載誌:Zoological Journal of the Linnean Society (Q1, Zoology; Q1, Animal Science and Zoology; Q1, Ecology, Evolution, Behavior and Systematics)
掲載日:2022 年7 月22 日
U R L:https://doi.org/10.1093/zoolinnean/zlac056
D O I:10.1093/zoolinnean/zlac056

Tomoya SUZUKI(信州大学、京都大学)
Naotoshi KUHARA(千歳市教育委員会)
Koji TOJO(信州大学)責任著者


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