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生物学コース中瀬悠太特任助教を含む研究グループが、複数寄生になると成長が早くなるネジレバネを発見しました。

2022年7月14日
【研究成果のポイント】
●ホソコバネナガカメムシに寄生するナガカメネジレバネは複数寄生となった時に早く成長する特殊な生活史を持っていることを発見しました

●成虫になる機会を巡って成長速度による競争の結果生じた現象である可能性が示唆されました

●密度依存的な生活史の変化をネジレバネ目で初めて報告しました


【概要】
 信州大学理学部生物学コースの中瀬悠太特任助教、信州大学理学部生物学コースの卒業生福桝友一朗、石本夏海、日本学術振興会特別研究員PD(東京大学)の田路翼(研究当時:信州大学理学部生物学コース博士課程)、信州大学理学部生物学コースの市野隆雄教授は、ナガカメネジレバネは過寄生(1個体の宿主に複数の寄生者が寄生)となった時に早く成長する特殊な生活史を持っていることを発見しました。通常であれば宿主のカメムシであるホソコバネナガカメムシと同様に、ナガカメネジレバネは1年で1世代の生活史を持っていますが、過寄生になったものでは成長が早くなり数か月から半年で世代を回すようになっていました。その結果、通常であれば春から夏にかけて出現する成虫が冬に出現します。同じ宿主に寄生してしまったネジレバネどうしが成虫になれる機会を巡って競争するために成長が早くなる現象が起きると推測されました。過寄生は稀な現象でないばかりか生活史を大きく変えてしまうきっかけになることが示されました。今後過寄生という現象に注目が集まり研究が進むことでさらなる発見が期待されます。
本研究成果は、2022年7月8日(金)付けで、アメリカ生態学会の学術誌『Ecology』上で発表されました。本研究はJSPS科研費22K06388と長野県科研費NPS2021314の助成を受けたものです。
【論文タイトルと著者等】
タイトル:Parasitism by multiple strepsipterans accelerates timing of adult parasite emergence

著者:
中瀬 悠太
福桝 友一朗
田路 翼
石本 夏海
市野 隆雄

掲載誌:Ecology

DOI:https://doi.org/10.1002/ecy.3811
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